地上デジタル放送のスクランブル解除に必要な「B-CASカード」を発行するビーエス・コンディショナル・アクセス・システムズは7日、「Plug-in SIM」形状の小型B-CASカード(ミニカード)の提供を、2009年11月から開始すると発表した。

B-CAS(ビーキャス)はビーエス・コンディショナル・アクセス・システムズ(BS Conditional Access Systems)の略で、同社が提供する放送受信方式をB-CAS方式と呼ぶ。地上デジタル放送におけるデジタル著作権管理(DRM)の一部として、正規の機器を認証する限定受信方式として利用されている。

同方式では、放送波に伝送路暗号(スクランブル)が施され、スクランブル解除の為にはB-CASカードが必要。受信機での権利保護規定遵守を、B-CASカード支給契約によるエンフォースメント(強制)で担保している。だが、総務省の情報通信審議会第5次中間答申では、B-CAS方式の見直しを行うべきとする方針を明示。

これを受け、総務省「デジタル・コンテンツの流通の促進等に関する検討委員会」の技術検討ワーキンググループ(WG)では、今後導入を検討すべき地上デジタル放送の著作権保護のための新たな技術方式として、(1)B-CASカードと同じカード方式、(2)チップ方式、(3)ソフトウェア方式、の3種類を検討。2009年4月22日に開かれた同検討委員会第51回会合では、同WGの中間報告として、B-CAS方式と並存する新方式の技術仕様を「ルールを遵守する全てのメーカーに開示する」方針を明らかにした。B-CAS方式についてはこのまま存続させるとし、カードの小型化や受信機器などへの事前実装を行うとした。

B-CASでは7日、この中間報告を受ける形で、ARIB(電波産業会)規格に基づき、Plug-in SIM形状の小型B-CASカード(ミニカード)を導入すると発表。同社によれば、ミニカードは現行と同じ「シュリンクラップ方式」で、ユーザーがラップを開封してミニカードを取り出し、受信機器に装着して使用。機能的には現行のカード(フルサイズカード)と変わりなく、地上波専用となる。

現行のカードは廃止せず、ミニカードは現行のカードの追加として導入。「受信機器メーカーへの支給時期は2009年11月ごろを予定している」としている。