物腰柔らかなカイル・イーストウッド

春の叙勲で、監督、俳優のクリント・イーストウッドが旭日中綬章を受章した。監督作『硫黄島からの手紙』で映画を通じて「日本と米国の相互理解の促進に貢献」したことが受章理由だという。

これに対しイーストウッドは「次作の撮影中につき、直接お礼を言うことができないのが残念ですが、この度、名誉はる旭日章を授かったことを心から嬉しく思います。この章によってもたらされる、日本でも栄誉に深く感謝いたします。本当にありがとう」と喜びのコメントを寄せ、『グラン・トリノ』のPRのため来日中の実子、カイル・イーストウッドが父の代わりに受章した。

ジャズ・ミュージシャンとして活躍中のカイルはイーストウッド作品に多くの楽曲を提供している。「映画音楽は映画を引き立てるためのもの」と控えめながらも、『グラン・トリノ』では「車を盗もうとしたタオが怒られて家の修理の手伝いをする場面の音楽はぴったりマッチしていたね。あとはエンド・ロールが会心の出来だよ」と語った。

父については、「ウォルトみたいに頑固じゃないよ。ちょっとかぶるところはあるけどね。でも、いつもおだやかな人だよ。一言で表すなら『Passionate(情熱的)』な人。音楽センス? いい耳を持ってると思う(笑)。習っていたわけじゃないのにあれだけピアノを弾けるし、曲も書けるしね」。

また、曲の使用料に関する踏み込んだ質問には「普通の2倍もらってるよ(笑)」とジョークでお返し。「まあそれは冗談として、彼は寛容な人だからちゃんと払ってくれているよ。もしディスカウントして、って言われたらそれはそれでOKさ」とビジネス・パートナーとして良い関係を築いていることを明かした。

3月に3年ぶりの新譜『メトロポリタン』をリリース。6月8日~12日にはBlue Note TOKYOでライブを行うという

『硫黄島からの手紙』キャストからの祝福メッセージ

  • 渡辺謙「旭日中綬章おめでとうございます。クリントの数十年に渡る作品に対する誠実な現場作りには頭が下がります。しかも未だ衰えぬ制作意欲。日本でも国が認めてくれたこと、嬉しく思います」

  • 二宮和也「元気にしてるかな?っと思っていた時のこの朗報。おめでとうございます。凄いことばかりで、本当に驚いてます。いつまでも元気だなぁ。嬉しいっす。あ、ちなみに僕も元気ですよ」

  • 伊原剛志「あなたのつくる映画は、人の心を動かすものがあり私もいつも作品ごとに心が動かされてます。この度は、名誉な章の受章ということでおめでとうございます。今後の作品も楽しみにしております」

  • 加瀬亮「おめでとうございます。イーストウッド監督は、いつまでもあこがれです」

  • 中村獅童「『硫黄島からの手紙』で役を生きる喜びを静かにご教示いただいたことは、自分の役者人生にとって宝物です。大好きな監督のご受章を心よりお祝い申し上げます」