マイコンおよびアナログ半導体ベンダの米Microchip Technologyの日本法人であるマイクロチップ テクノロジー ジャパンは3月31日、標準的なマルチループ、スイッチ、モード電源(SMPS)および各種電源電圧変換アプリケーション用となる16ビットデジタル・シグナル・コントローラ(DSC)「dsPIC」の第2世代品「dsPIC33F"GS"シリーズ」7製品を発表した。

デジタル電源は、制御ループの1部もしくはほとんどをデジタル化したもので、究極的にはデジタルアルゴリズムで完全にループ制御を行うことを目標としている。同社のDSCは、DSPリソースとマイコンを組み合わせることで、高速制御ループに必要な演算と各種機能に求められる柔軟性の両立を実現している。

デジタル電源による電源制御は4段階に分けられる(デジタル電源の市場成長は早く、調査会社の調べではCAGR40%超で2013年には14億台の機器に搭載されるという)

Microchip TechnologyのVice President,Digital Signal Controller DivisionであるSumit K.Mitra氏

従来アナログな電源をデジタル化することは、「設計の柔軟性の向上や各%時における負荷効率を個別に最適化することが可能となる」(MicrochipのVice President,Digital Signal Controller DivisionであるSumit K.Mitra氏)という。また、「周辺モジュールを内蔵することで、部品点数もアナログの時と比べて50~60%程度削減が可能であり、システムサイズの小型化によるコスト削減、および高電力密度化、信頼性向上などが可能になる」(同)とする。

デジタル電源はあらゆる面でアナログ電源よりもメリットを生み出す

今回発表された7製品は、インテリジェント電源向け周辺モジュールとして、16ビットで分解能1nsのPWMを4~8チャネル搭載しているほか、動作速度20nsでD/Aコンバータ対応のコンパレータを最大4つまで、サンプリングレート2~4MSPSの10ビットA/Dコンバータ(ADC)を1~2個搭載しており、これらを使用してデジタル制御ループを構築し、小遅延、高分解能で制御できることが特長。

「dsPIC33F GS」シリーズの概要

ピン数は18/28/44ピンの3種類に分けられており、いずれも第1世代のDSCファミリとピン互換がある。また、搭載メモリ容量は、フラッシュが6もしくは16KB、SRAMが256/1K/2Kのいずれかとなっている。

プロセスを第1世代の0.5μmプロセスから0.25μmのフラッシュプロセスへと変更したことなどにより、フルスピード動作時の動作電力が第1世代比半分未満に抑えられたほか、3.3V時の処理性能が同2倍となる40MIPSに引き上げられた。

型番 ピン数 フラッシュ容量(KB) SRAM容量(バイト) ADC入力チャネル数
dsPIC33FJ06GS101 18 6 256 6
(2MSps)
dsPIC33FJ06GS102 28 6 256 6
(2MSps)
dsPIC33FJ06GS202 28 6 1K 6
(2MSps)
dsPIC33FJ06GS402 28 16 2K 8
(2MSps)
dsPIC33FJ06GS404 44 16 2K 8
(2MSps)
dsPIC33FJ06GS502 28 16 2K 8
(4MSps)
dsPIC33FJ06GS504 44 16 2K 12
(4MSps)

また、同社では、併せて同デバイスを使用したAD/DCリファレンスデザインも発表している。

同デザインは、300W AD/DCパワーコンバータで、ユニバーサルAC入力電圧範囲に対応し、12V中間バスの生成およびMultiフェーズ同期式降圧型コンバータによる3.3V出力、シングルフェーズ降圧型コンバータによる5V出力が可能である。

AD/DCリファレンスデザイン(ハードウェアとしてのみならずデータでの提供も行っているとのこと)

従来より提供していたSMPSバック開発ボード「DM300023」

新たに開発されたデジタル電源およびデジタルSMPSデザインの評価が可能なプロトタイプ用プラットフォームこと降圧/昇圧型コンバータ「PICtail Plus」ドータボード「AC164133」(価格は89.99ドルとのこと)

ドータボード対応ボードであるモジュラ式Explorer 16ボード「DM240001」(価格は129.99ドル)

同じく対応ボードである16ビット28ピン スタータボード「DM300027」(左がDM300027、右のボードはドータボードの裏面。DM300027の価格は79.99ドル)

ドータボードを各対応ボードに搭載したところ(左がDM240001に挿したところ、右がDM300027に載せたところ。DM300027に関しては、ピンの上にコネクタを置いただけの状態)

さらに、GUIベースの電源設計/シミュレーションツールを無償提供することで、アナログに従事してきた人でも、回路図の生成や回路のシミュレーション、コードの生成、受動素子の決定などが可能であり、苦労せずにデジタルの設計が可能になるという。

Microchipの提供するシミュレーションツールの最初の画面(Webツールとして提供しているアドレスはコチラ)

7製品はすでに量産出荷を開始しており、単価はローエンド品となるdsPIC33FJ06GS101で5000個注文時で1.96ドルとなっている。ハイエンド品の価格についてMitra氏は、「それほど高くなることはないと思っている」(同)としたほか、次世代品のロードマップとして、さらに幅広い市場に対応するためにメモリや通信インタフェースなどを変更したファミリの展開を行いつつ、コスト削減を推し進め、かつ性能向上を図ったモデルの提供も行っていくとした。