太田雄貴選手

北京五輪フェンシング男子フルーレ個人で銀メダル獲得から半年あまり、太田雄貴選手(森永製菓)が31日、都内で記者会見を行い、日本人として初めてフランスのエクス・アン・プロヴェンスフェンシングクラブに参画することを発表した。

フェンシングは、もともとフランス発祥のスポーツ。太田にとって、そこでフェンシングをすることは大きな夢だった。オリンピックで念願のメダルを獲得したあと、"燃え尽き症候群"のような状態に陥っていたという太田。練習に身が入らず、フェンシングときちんと向き合えていなかったことで、全日本選手権では準優勝に終わった。新たな目標を欲していたとき、エルワン・ル・ペシュー選手からオファーを受け、フランスのトップリーグに所属しているクラブチームで、フランス選手権の団体戦をともに戦うこととなった。憧れの地でのプレーということで太田自身も「モチベーションが上がった」という。

フランス選手権は、その名の通り、フランス1のフェンシングクラブを決める大会。現在ベスト8が出揃い、4月18日に準々決勝を戦うことになっている。競技は3人1組の団体戦。チームにはエルワン・ル・ペシュー(05,06,07年世界選手権団体金メダリスト)がおり、さらにもう一人のマルセル・マルシュも仏代表選手。そこに太田を加えた3人は、優勝候補といわれている。EURO圏内での移籍は、クラブ間の交渉が必要となるため、アジア、アフリカ、アメリカなどのなかから、もっとも優秀と思われる太田に声がかかったとのこと。「フランスは、他の国を認めにくい人たちなので、そこに入るのは光栄に思います」と、思わず太田の顔もほころぶ。

今後、4月1日にフランスへ旅立ち、4月4日には世界最高峰のフルーレフェンサーが集う"フルーレマスターズ ヴァル・ド・セーヌ"に参戦し、18日の準々決勝に備えることになる。さらに6月21日の準決勝・決勝を制すれば、欧州選手権への道も拓けてくる。

「オリンピック前より調子は良い。次に続く後輩のためにも、日本人でもここまでできるんだぞ、というところを見せたい」と太田の鼻息も荒い。フェンシング母国での、太田の活躍に期待したい。