携帯情報端末「FLEPia」(フレッピア)。2種類の電子書籍ビューアを搭載し、重量385gでサイズはW158×H240×D12.5(最薄部11.3)mm。表示されているのはメインメニュー画面。タッチパネルを採用し、デジタルペンで操作する。本体カラーはホワイトとブラックの2タイプ

富士通フロンテックは18日、直販サイト「フロンテックダイレクト」において、携帯情報端末「FLEPia」(フレッピア)の国内一般販売を開始したことを公表。その発表会を開催した。FLEPiaは、富士通フロンテックと富士通研究所が開発したカラー電子ペーパー採用の携帯情報端末。カラーはホワイトとブラックの2種類。価格は99,750円で出荷開始は4月20日。当面は直販サイトでのみ販売する予定だ。

最初に、富士通フロンテック 経営執行役員 利根廣貞氏がカラー電子ペーパーへの取り組みを紹介した。

富士通フロンテックは、ATMや営業店システムなどを提供する金融ソリューション、POSやハンドヘルドターミナルなどを取り扱う流通ソリューション、表示システムや公営競技などの産業・公共ソリューションを柱に、ハードからソフトウェアまで提供。今回のカラー電子ペーパーは、産業・公共ソリューションとして開発している表示システムの一環となっている。

カラー電子ペーパーへの取り組みを説明する富士通フロンテック 経営執行役員 利根廣貞氏

電子ペーパービジネスも携帯電話向けを中心に国内で急速に拡大。海外では、Amazon Kindleを中心に端末が市場を牽引している。富士通はこのような状況を背景に電子ペーパー事業を加速。2005年7月に行われた富士通フォーラム2005でカラー電子ペーパーを発表したのを皮切りに、2006年5月に8型と11型を富士通フォーラム2005で展示。2006年10月にはCEATEC JAPANでFLEPiaのプロトタイプを展示し、2007年4月には法人向けにFLEPiaのサンプル販売を開始した。そして、この18日から一般販売を始めた。

2005年7月のカラー電子ペーパー発表後、開発を加速し2007年4月には「FLEPia」サンプル出荷を果たした

今回、シャープの「ブンコビューア」、またボイジャーの「T-Time」との2種類の書籍ビューアを搭載、日本最大の電子書籍サイトを運営するパピレスと提携しブックストアー「ふれっぴ屋」をオープン。今後2年で50,000台を販売し、マガジン、コミック用のビューアの搭載、新聞社との協業で新聞配信ビジネスを目指している。50,000台のうち、20%程度が法人需要になると予想している。

「FLEPia」を紹介する富士通フロンテック システム事業本部 本部長代理 大橋喜法氏

引き続き、富士通フロンテック システム事業本部 本部長代理 大橋喜法氏がFLEPiaを紹介した。

FLEPiaのコンセプトは、ユビキタスコンテンツブラウザ。いつでも、どこででも、誰とでも、音楽、文書、書籍、画像が楽しめるというもの。企業向けにサンプル出荷されたFLEPiaは、省電力で多くの情報を表示できることで、次世代の地球環境に大きく貢献できる商品として「2008年度グッドデザイン賞」を受賞している。今回、企業向けのサンプル出荷から得られたユーザーの声、展示会などであがった声を反映し改良したとのこと。画素数はXGA(1,024×768)、表示色は64色、4,096色に加え、今回260,000色表示が可能となった。明るさ、コントラスト、書き換え速度は従来の1.5~1.7倍。64色の書き換え速度は1.8秒程度だが、最近のモノクロタイプの電子ブックでは0.5秒程度で書き換えられるものも登場しているため、今後書き換え速度を1秒以下にするために改良を続けるとした。

表示色が64色、4,096色に加え、260,000色を実現。書き換え速度も向上している

バッテリー駆動時間は約40時間(64色表示で1分あたり1ページ更新した場合で2,400ページ)。画面は8型で薄型軽量を実現している。またIEEE802.11g/b対応無線LAN、USB 2.0端子に加え、Bluetoothも搭載。外出先でBluetooth対応携帯電話経由でインターネットに接続できるようになっている。そのほか、SDメモリカードスロット、テレオ・スピーカーなどを内蔵する。

先に挙げた2種類の電子書籍ビューアを搭載し、それぞれに対応した約2万冊の電子書籍をダウンロード可能。ただし、ダウンロードできる書籍は文庫本が主体で、新刊の配信についてはあまり進んでいない。この点については今後の課題とし、各出版社と話し合いを進めるとした。OSはWindows CE 5.0。富士通で展開しているハンディターミナルなども同OSを搭載しているため、その開発ノウハウを投入。性能、機能の面でも、特殊な用途で必要な機能以外は、ほぼ同等となっている。そのため、従来から使用してきたXScale PXA270をCPUとして採用したとのことだ。ブラウザはCE用のInternet Explorerで、Flash Liteは非搭載。企業向けにFLEPia出荷を開始した時点でSDKも配布済み。購入した企業で、使用用途にあわせた独自のカスタマイズが可能となっている。さまざまなアプリを搭載し、省電力を生かせる製品を考えており、現時点で、銀行などでの伝票の入力、飲食店などでのそのまま注文できるメニューなどを想定している。

オプションとして、ブックカバー(写真右)と収納ケース(写真左)などを用意

付属品のスタンド。「FLEPia」をセットすればフリーハンドで書籍が読める