日本ユニシスは、次年度に向けての方針について、プレス説明会を開催した。同社 代表取締役社長 籾井勝人氏は、ICT(Information and Communication Technology)に注力していく方針を明らかした。

日本ユニシス 代表取締役社長 籾井勝人氏

冒頭籾井氏は、「攻めの経営」を基本方針とし、「待ちのビジネス」ではなく、「提案型のビジネス」を行っていくと述べた、そして、その柱として「企業体質の強化」「ICT事業の推進強化」「安定収益ビジネスの強化」の3つを挙げた。

企業体質の強化では、技術部門を一元化し、テクノロジーのワンストップ化を図る。具体的な施策としては、技術統括部と新技術評価センター4月から新たに設置する。

これまで、日本ユニシスの各グループ会社がそれぞれの技術を持ち、中にはダブっているものもあり非効率な部分もあったが、来月から技術統括部に一元化するという。これにより、グループ内のどこにどのような技術があるのかを把握することが可能になるという。一方の新技術評価センターでは、最新の技術を実務で役立つものに落とし込む作業を行う。そして、これらの組織により養われた技術をICTに傾注していくという。

これには、ICTという足の速いビジネスをやっていく上では、技術をストレートに使えるようにする必要があり、従来のように各組織の中にあるのでは、素早い対応ができないという理由があるという。

また、ソフトウェア検査部を設置し、一層の不採算案件を撲滅していくという。

攻めの経営をするための体制強化

安定収益ビジネスの強化では、ソリューションビジネスを展開し、さらにアウトソージングビジネスへ連鎖させることにより、安定収益型ビジネスへシフトするという。

籾井氏は、「ICTは今後大きなウェイトを占める。アウトソーシングも近い将来大きな柱となる。先頭を走り、ICTの日本ユニシスにしたい」と述べた。

同社は、2008年度も4月にICTサービス本部を新設、7月にはIDC基盤(クラウド型)を構築するなど、ICT事業に力を注いできた。そして、9月にはUSBキーを挿すだけでリモートオフィス環境を構築できる「SASTIKサービス」、10月には「ICTホスティングサービス」、12月にはマイクロソフトのCRMソフト「Dynamics CRM」をSaaSで提供するサービスを開始した。

2008年度のICTの実績

日本ユニシスが提供するICTサービス

日本ユニシス 常務執行役員 ICTサービス本部長 角泰志氏

続いて登壇した常務執行役員 ICTサービス本部長 角泰志氏は、クラウドコンピューティングやSaaSなどのICTビジネスのメリットについて「事業の伸びに合わせてICTへの投資が行え無駄がないこと、CO2削減に大きく貢献できる点を挙げた。また、同社のICTに対する強みについて、「ハードウェアベンダーでも、ソフトウェアベンダーでないため、自社の製品に縛られす、世界中の製品を評価し、最も良いものを利用できる点」を挙げた。

ICT基盤である自社のデータセンターの強みについては、これまで数多くのベンダー製品を利用してきているため、さまざまな製品に対するノウハウがあり、データセンターを自ら構築でき、また外部に委託することなく、運用保守も自前で行える点を挙げた。また、SaaSに対しては、これまで行ってきたシステムインテグレーションの経験を、企業システムとの連携に活かすことができる点を挙げた。

2009年度については、リアルクラウドへの挑戦、SaaSビジネスパークの本格展開を行うという。リアルクラウドについては、セキュリティレベルの高い、複数のクラウド環境にまたがったストレージクラウドや、バーチャルクラウド、ユーザーが気軽にクラウド環境を利用できるカフェテリアのようなものも開設するという。

一方のSaaSビジネスパークは、さまざまなサービスの提供者、SIer、コンテンツ提供者、広告主にビジネス機会を提供するマーケットプレイスで、来月4月から本格展開するという。

次年度に向けたメッセージ