Analog Devices(ADI)は3月17日、最高3.6GHzまでの信号をダイレクト・デジタル・シンセシス(DDS)で生成する14ビットD/Aコンバータ(DAC)「AD9789」「AD9739」を発表した。これらは、同社の送信D/Aコンバータファミリ「TxDAC」を拡張するものとなっている。

「AD9739」(左)と 「AD9789」(右)のパッケージ外観とそれぞれの特長

2製品ともに、同社の独自技術である「ミックスモード・スーパー・ナイキスト・アーキテクチャ」を搭載し、忠実度の高い3.6GHzまでのRF信号を生成するデジタル・シンセシスをサポートしている。また、RF信号を直接生成可能なコアとの組み合わせで実現した帯域幅とダイナミック・レンジにより、ブロードバンドや次世代ワイヤレス通信機器の設計者は、複数の通信規格に対して単一の送信DACアーキテクチャで対応することが可能になるという。

このため、外付けミキサおよびローパスフィルタが不要となり、設計の複雑度、コスト、サイズ、消費電力などの低減が可能になるとしている。

AD9789は、ケーブル・インフラストラクチャ向けに2.4GHzのサンプリングレートを実現するQAMエンコーダ、インターポレータやデジタル・アップ・コンバータを集積している。また、デジタルインタフェースを内蔵しており、最大4チャネルまでの複素数データを入力することが可能である。また、QAMエンコーダはすべての規格に対し、16/32/64/128/256のコンスタレーション数と、SRRCフィルタ係数をサポートしている。さらに、オンチップのレートコンバータにより、固定のDACクロックでも広範囲のボーレートをサポートできるほか、デジタル・アップ・コンバータは0から0.5fDACまでのチャネル周波数を設定することができ、DOCSISバンド内のどこにでも、最大4個までの隣接DOCSISチャンネル信号を生成することができる。

一方のAD9739は、同じDACコアを活用することで、広範囲な帯域幅を特長としており、ワイヤレス通信機器、計測機器、軍事用電子機器などでの使用が可能である。デバイス設定とステータス・レジスタ読出用に、4~32ビットまでのデータバス幅に対応したSPIを内蔵しており、実数データも複素数データも入力することが可能となっている。また、QAMエンコーダおよびSRRCフィルタをバイパスするようにデータパスを設定可能なオプションを用意。これにより、ワイヤレス・インフラストラクチャのようなアプリケーションでも動作させることが可能となっている。

なお、2製品ともにすでに量産出荷を開始しており、1,000個受注時の単価はAD9739が43.69ドル、AD9789が58.10ドルとなっている。