数万年に一度の接近と言われたルーリン彗星(Commet Lulin)は、そろそろ地上からの見ごろの時期を過ぎ、あとは太陽に向かってまっしぐら! である。今回、はじめて太陽に接近するとあって、もしかしたら核となる部分がすべて蒸発してしまう可能性もあり、そうなると人類にとっては本当に今回が最初で最後の遭遇となる。

ルーリン彗星を捉えた写真は数多くあるが、やはり本コーナーでは我らがNASAが公開している1枚を取り上げたい。

米バージニア州のシェナンドー国立公園(Shenandoah National Park)にて、地球最接近時の2月23日に撮影したルーリン彗星。木々のあいだに、小さいながらも緑に輝く彗星の姿がはっきりと見てとれる

彗星の拡大部分

ルーリンは非常に大量のガスと水を放出しながら太陽に向かって突き進んでいる。NASAはガンマ線観測衛星「スウィフト(Swift)」でルーリン彗星を追跡しており、X線/紫外線撮影にも成功している。もうしばらくしたら、これらのデータを分析した画期的な研究成果が発表されるかもしれない。原始の太陽系の謎を多分に含んだ緑の彗星、人類はふたたび目にすることがかなうのだろうか。