安全なインターネット利用環境を整備することを目的とした「安心ネットづくり促進協議会」の設立総会が27日、東京都港区で開かれた。これまで企業や教育機関、NPOなどによって個別に行われてきたネット上の違法・有害情報への取り組みについての情報を共有。全国的な啓発活動や、児童ポルノ対策の調査・研究などを行うとしている。

ソフトバンク 代表取締役社長の孫正義氏(前列左から4人目)らが発起人となり、「安心ネットづくり促進協議会」が設立された

「安心ネットづくり促進協議会」は、2008年10月に設立準備を進めていることを発表。未成年の携帯電話へのフィルタリングを義務付けた「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律」が4月1日に施行されるのを前に、ソフトバンク 代表取締役社長の孫正義氏、ミクシィ 代表取締役社長の笠原健治氏ら19人が発起人となり、今回設立された。

27日の設立総会の時点で、有識者ら68の特別会員、企業など77の正会員、28の賛助会員の計173の会員が参加した。

設立総会では、会長に大阪大学 総長の鷲田清一氏を選出。

会長に選出された大阪大学 総長の鷲田清一氏

鷲田氏は選出後のあいさつで、「保護者、学校関係者、企業、NPOなどでバラバラに行われている違法・有害情報への取り組みをゆるやかに連携させ、優れた取り組みであればお互いに積極的に取り入れていく」と協議会設立の目的を説明。「インターネットの利用環境を整備するための新たな活動を生み出す磁場にしていきたい」と抱負を述べた。

設立総会ではその後、2008年度、2009年度の事業計画、組織人事などを決定した。

設立総会で決定された事業計画・組織人事では、活動を進めるための組織体制として「普及啓発委員会」と「調査企画委員会」を設置。

普及啓発委員会の下には普及啓発活動作業部会を置き、「インターネットの光と影を正しく知り、楽しく賢く安心して使う国民運動を展開する」(安心ネットづくり促進協議会)とした。

具体的には、インターネット利用環境整備に関する目標である「自主憲章」や、安心ネットづくりの活動を表す「ロゴ」を作成。啓発活動のシンボルとして、「1億人のネット宣言 もっとグッドネット」という協議会の宣言テーマと合わせて普及活動を行う。

自治体、NPO、企業、地域メディアと協力した地域啓発活動も実施する。

また、調査企画委員会の下には「調査検証作業部会」「児童ポルノ対策作業部会」「コンテンツレイティング作業部会」を設置。

調査検証作業部会では、ネット上の違法・有害情報が青少年に与える影響について、情報の種類や受信者の属性などで場合分けし、調査・分析を継続的に実施してデータを蓄積。青少年のネット利用環境整備に役立ててもらうため、調査結果を公表する。

児童ポルノ対策作業部会では、児童ポルノ情報への対策強化を目的に、欧米諸国で採用されているブロッキングなどの運用実態調査・検証を実施。

コンテンツレイティング作業部会では、Webサイトなどをさまざまな視点から格付けする「レイティング」の実証実験や普及活動を行っていくとしている。