東京ビッグサイトで25日から開催されている世界最大級の燃料電池に関する展示会「FC EXPO 2009 第5回国際水素・燃料電池展」では、都市ガスやLPガスなどから水素を取り出して発電する家庭用燃料電池「エネファーム」の市販化製品が展示されている。

エネファーム(ENE・FARM、家庭用燃料電池コージェネレーションシステム)は、酸素と水素の電気化学反応で電気をつくり、窒素酸化物(NOx)や硫黄酸化物(Sox)を発生させないクリーンな家庭用燃料電池システムのこと。自宅に設置した燃料電池で発電し、発電時に生じた熱を利用してお湯を沸かすことができ、エネルギー効率に優れた新しい家庭用エネルギーシステムとしても注目されている。

「FC EXPO 2009」では、都市ガスを用いた東京ガスのパナソニック製エネファームと、LPガスを使う新日本石油のENEOSセルテック製エネファームが展示されていた。いずれも今春発売される製品で、2つのユニットによって構成されるところは共通。燃料電池ユニットと貯湯ユニットが組み合わさるかたちとなる。

東京ガスのエネファーム(パナソニック製)

新日本石油のエネファーム(ENEOSセルテック製)

東京ガスのパナソニック製エコファームは、価格が346万5,000円から。2009年度の販売目標台数が1,500台で、「すでに400から500件の予約を受けている」(東京ガス担当者)という。

新日本石油の担当者は、「我々は東京や大阪に整備された都市ガス以外のLPガス、プロパンガスのエリアで販売していくことになる。都市ガスとLPガスの世帯数は半々とみているが、プロパンガス自体が都市ガスよりも若干値段が高いといわれていて、LPガス仕様のエネファームも、若干だが都市ガス仕様よりも高くなるかもしれない」と話す。

東京ガスによると、家庭用燃料電池コージェネレーションシステムの商用第1号機が設置された場所は首相公邸で、2005年のこと。そして今春エネファームが本格的に発売され、2030年には250万台に達する(総合資源エネルギー調査会需給部会「長期エネルギー需給見通し」より)といわれている。今後、補助金制度の導入なども期待されていて、一気に普及が進む気配だ。