電通は23日、2008年の国内の広告費と、媒体別・業種別広告費についてまとめた「2008年 日本の広告費」を発表した。同発表によれば、2008年の国内広告費は、米国の金融危機から始まった不況の影響により、2007年比4.7%減の6兆6,926億円と5年ぶりの減少。媒体別に見ると、テレビ、新聞、雑誌が減少する中で、ネット広告費は前年比16.3%の増加となった。

「2008年 日本の広告費」によると、2008年のテレビ、新聞、雑誌、ラジオの「マスコミ4媒体」の広告費は、2007年比7.6%減の3兆2,995億円。

このうち、新聞広告費は2007年比12.5%減の8,276億円となり、大きく減少。雑誌広告費が同11.1%減の4,078億円、テレビ広告費が同4.4%減の1兆9,092億円、ラジオ広告費が同7.3%減の1,549億円で、4媒体全てで減少した。

一方、2008年のネット広告費(媒体費+広告制作費)は、前年比16.3%増の6,983億円。媒体費は、モバイル広告費が913億円、検索連動広告費が1,575億円で、両者を併せると2007年比17%の増。広告制作費は同14.0%増の1,610億円だった。

電通によると、2008年は、インターネット利用者の伸びについても以前ほどの伸長はなく、総PV数の伸びにも鈍化の傾向が見えてきている。しかしその一方、「動画視聴などは増加して総利用時間は延びるといった、これまでとは違う質的な変化が見られるようになった」(同社)。

その結果、「インターネット広告市場は手法の拡大や高度化を伴いながら、引き続き全般に成長を続けている」(同社)と結論付けている。

ネット広告費は2006年に雑誌広告費を抜き、テレビ、新聞に次ぐ「第三の広告媒体」となっており、2008年は、この状況を一層強固なものとする年となった。