日本アイ・ビー・エムは2月25日、クラウド・コンピューティングのサービス拠点「IBM Computing on Demandセンター」の開設、クラウド・コンピューティング環境の構築と運用をサービス・マネージメントの観点から支援するソリューションが「IBM Service Management Center for Cloud Computing」の提供開始を発表した。

日本IBM 専務執行役員 システム製品事業担当 ポール・マウン氏

同拠点と同サービスは、IBMが提唱する新しいITインフラストラクチャのコンセプト「Dynamic Infrastructure」を実現するためのもの。日本IBM 専務執行役員 システム製品事業担当のポール・マウン氏は、「インフラに対する需要が変わってきているため、これまでのインフラではそれらにこたえることはできない。当社としては、現在の課題を解決し、スマートな未来を実現するインフラストラクチャのあり方として"Dynamic Infrastructure"を提唱する」と説明した。

Dynamic Infrastructureとは、「セキュリティ」「仮想化」「資産管理」「サービス・マネジメント」「エネルギー効率化」「継続性・回復力」「情報基盤管理」という7つの分野に取り組むことで、「サービスの改善」「コスト削減」「リスク管理」という3つの課題解決を実現するインフラである。「この7つの分野はサーチラボで取り組んできたテーマであり、リファレンスなども豊富だ」(マウン氏)

「Dynamic Infrastructure」の概要

マウン氏によると、顧客がDynamic Infrastructureを実現する際は、初めにアセスメントを行い、「7つの分野のうち、どの分野をどのように強化していくか」について検討するという。したがって、企業・組織によって設計・構築内容が異なってくるというわけだ。

「Dynamic Infrastructure」のアセスメントの仕組み

IBM Computing on Demandセンターは、顧客が必要なときに必要なだけハードウェアリソースをネットワーク経由で利用することを可能にする。同センターは幕張事業所内に開設され、4月よりサービス「IBM Computing on Demand」の提供が開始される予定。同サービスの最低使用料金は、クアッドコアCPU2個搭載のサーバを1週間利用する場合で5万400円(税別)で、1CPU1時間あたりに換算すると150円になる。同サービスを利用する際、ハードウェアを専有するか、共有するかは選択することが可能。

記者から「同サービスの利用期間によってはハードウェアを購入したほうがコストが抑えられるのではないか」という質問が出たが、同社からは「契約年数が長くなるとサービスの利用料金は割引が適用される。また、価格を比較する場合、ハードウェアの価格に運用に要するコストも加えなければならない。このサービスはすでに米国とヨーロッパで提供が始まっているが、2年から3年という期間で契約している顧客もいる」との回答がなされた。

IBM Service Management Center for Cloud Computingでは、顧客の要求に応じて、クラウドサービスを提供・管理できる製品「Tivoli Service Automation Manager V7.1」とクラウド環境の構成・導入を自動実行できる製品「Tivoli Provisioning Manager V7.1」を中心としたソフトウェア製品の提供と導入支援を行い、クラウド環境の構築と運用を支援する。提供は2009年の第2四半期が予定されており、価格はサーバ39万1,900円から。

また同日、業種別に特化したフレームワークに基づくIBMサービス・マネジメント・ソフトウェアとサービスを提供する「IBM Service Management Industry Solutions」の提供も開始された。「公益事業」「化学、石油」「通信」「電機」「小売」「銀行」「PLM(製造)」の7つの分野に対し、順次ソリューションが提供される。