三菱電機は2月18日、150mm角サイズの多結晶Si太陽電池セルで、光電気変換効率が同社従来品の18.6%から0.3ポイント向上した18.9%を達成したことを発表した。また、太陽電池が発電する直流電力を交流電力に変換する太陽光発電システム用パワーコンディショナの変換効率も向上し、100kWのパワコンで、97.5%を達成したことも併せて発表した。

太陽電池セルは、太陽電池の裏面を光反射構造とし、裏面に到達した赤外線を反射して太陽電池内部へ取り込むことで、赤外線の利用効率を従来比26%向上させている。

また、高効率化の実現のために、セル表面の光反射率を低減させるために、低反射表面構造「ハニカムテクスチャー」を開発、適用することで受光量を増やし、効率の向上を図った。

一方、パワコンでは、家庭用で実用化した単相の階調制御型インバータ技術を用いて3相の階調制御型インバータを開発、100kWパワーコンディショナに適用した。階調制御型インバータは、階段状の擬似正弦波を出力するため一般的なPWM方式と比較して、出力波のひずみの要因となる高周波の電圧振幅が小さくなり、パワー半導体のスイッチング損失やフィルタでの損失が低減される。これにより、パワーコンディショナ全体の損失が低減され、変換効率の向上が可能となった。

また、太陽電池の直流出力をまず昇圧してからインバータへ供給する小型のDC/DC昇圧器を開発、従来必要とされていた出力側の昇圧トランスをなくすことで、パワーコンディショナの容積縮小にも成功している。今回開発した100kWパワーコンディショナの容積は約1.8m3(1200mm×800mm×1900mm)となっている。

なお、同社では今回開発した太陽電池セルについては、2010年度以降の太陽電池モジュールのセルに順次導入していくほか、パワコンについても2010年度に実用化を予定しており、太陽光発電システムの効率向上を図っていくとしている。