米航空宇宙局(NASA)は2月10日(米国時間)、地球から3万光年先にある中性子星「SGR J1550-5418」がフレア爆発を繰り返している画像を公開した。NASAの観測衛星スイフト(Swift)とフェルミガンマ線宇宙望遠鏡(Fermi Gamma-ray Space Telescope)が捉えたもので、今回の観測からこの中性子星は、非常にめずらしい「ソフトガンマ線リピーター(SGR)」と呼ばれるタイプに分類されるとしている。

SGR J1550-5418が起こしたフレア爆発を1月23日から28日に渡って記録した画像。中心核は縮退が進んで超高密度になっており、NASAによれば直径12マイル(約19.3km)程度にもかかわらず、太陽より重い質量をもっているとされる。あまりの放出エネルギーの大きさのために星雲が生じて天体を覆っており、この星雲がフレア爆発によって散乱している(QuickTimeによるアニメーション画像はこちら)

SGR J1550-5418は南天の星座・じょうぎ座の方向にある中性子星。ここ2年ほどの観測から、同天体がパルス波とX線を放出していることが判明していた。2008年10月に比較的小規模なフレア爆発が確認された後、しばらく爆発は起きていなかったが、今年1月22日から数日間に渡り、「20分弱の間に100回以上」(ペンシルバニア州立大学・Loredana Vetere氏)という非常に活発な爆発を繰り返したという。そのエネルギー量は「太陽が20年間に放出する総エネルギーよりも大きい」という膨大なものだ。

ソフトガンマ線リピーター「SGR J1550-5418」が強力な磁場を形成しているイメージ図。蓄えられた磁場が膨大なエネルギーとなってマグネター本体の表面にクラックを作り、そこからフレア爆発が生じると推測されている

爆発のパターンと放出されるX線およびガンマ線を調査した結果、NASAおよび研究チームはSGR J1550-5418を、6番目に発見されたソフトガンマ線リピーターとして分類する予定だ。ソフトガンマ線リピーターは、中性子星の中でもとくに強い磁場をもつ天体「マグネター」が、放出するエネルギーが強大すぎてX線などのバーストを起こした状態の天体。不規則で断続的にソフトガンマ線を放射するため、この名が付いている。高速で自転しながら、通常の中性子星の約1,000倍という強力な磁場を形成していると言われ、これまで5つほどしか確認されていない非常にめずらしい存在だ。2004年に見つかった別のソフトガンマ線リピーターは、5万光年先という距離にありながら、地球から検出できるほどの宇宙ガンマ線を放出している。

SGR J1550-5418は自転速度2.07秒という超高速で回転しており、これはいままで見つかったマグネターの中でも最速だという。