NECエレクトロニクスは、2008年度第3四半期(4月-12月)の決算概要を発表した。これによると、売上高は前年同期比11.7%減の4,609億円(内半導体売上高は同11.4%減の4,410億円)、営業損益は同49億円の黒字から150億円の損失に、税引き前損益は同35億円の利益から201億円の損失に、純利益は40億円の損失から218億円の損失へと赤字幅が拡大した。

第3四半期単体での業績を見ると、売上高は同25.4%減の1,273億円(内半導体は同25.1%減の1,227億円)、営業損益は同30億円の利益から162億円の損失へ、税引き前損益は同16億円の利益から201億円の損失へ、純損益は同9億円の損失から199億円の損失となった。営業利益率はマイナス13%を記録した。

2008年度第3四半期単体の業績と9カ月の累計業績

分野別の売り上げでは、ルータ、携帯電話基地局などのブロードバンド・ネットワーク機器向け半導体や携帯電話端末向け半導体を含む「通信機器分野」が同1.1%減の154億円となった。これは、携帯電話向けLCDドライバICやメモリの売り上げが減少したため。

サーバおよびワークステーション向け半導体やパソコンおよびパソコン周辺機器向け半導体を含む「コンピュータおよび周辺機器分野」は、同43.5%減の170億円となった。これは、液晶テレビやパソコン用モニタ向けLCDドライバICやDVDドライブ向けLSIの売り上げが減少したため。

家電製品向け半導体やゲーム機向け半導体を含む「民生用電子機器分野」は、同9.7%減の319億円となった。これは、デジタル家電向け半導体や白物家電向け半導体の売り上げが減少したため。

自動車向け半導体、FA機器などの産業機器向け半導体を含む「自動車および産業機器分野」は、同30.0%減の203億円となった。これは、自動車、産業機器向けいずれも減少したため。特に、自動車向け半導体は、北米市場の不振に加え、日本および欧州でも減速感が強まり、自動車向けマイコンの売り上げが減少したという。

汎用マイコン、ゲートアレイ、SRAMなどを含む「多目的・多用途IC」は、同27.7%の158億円となった。これは、汎用マイコン、ゲートアレイ、SRAMいずれの売り上げも減少したため。

ダイオード、トランジスタなどのディスクリート半導体、光通信やDVD向け光半導体、携帯電話端末などに使用されるマイクロ波半導体などを含む「ディスクリート・光・マイクロ波」は、同30.1%減の223億円となった。これもいずれの製品も需要減を中心とした理由により減少したため。

各分野の売り上げ推移

なお、同社では市況悪化に伴い、通期業績を2008年10月公表時の予測からさらに下方修正。売上高を1,050億円減となる5,550億円(内半導体売上高は同1,000億円減の5,300億円)に、営業損益を同560億円減額し、10億円の利益から550億円の損失へ、税引き前損益を同580億円減額し、40億円の損失から620億円の損失へ、純利益を同570億円減額し650億円の損失と変更した。

また、2011年3月期の損益分岐点を約5,000億円まで引き下げる経営施策を発表。これにより、今後2年間で約800億円の固定費の削減を行う。

具体的には、国内の生産拠点に勤務する派遣従業員1,400名の内1,200名を削減する。また、国内生産拠点における勤務シフト変更および一時帰休を実施する。役員の報酬を2009年1月より2010年3月にかけて最大30%、2009年2月から2010年3月までの管理職の給与を最大7%削減する。

加えて、米国のカリフォルニア州ローズビル工場の150mm(6インチ)ラインの閉鎖を2010年3月末までに行うほか、2010年9月までに閉鎖を予定していたNECセミコンダクターズ九州・山口の川尻工場6インチラインを2010年3月末までに閉鎖するよう加速させる。また、中国の合弁会社である首鋼日電電子の6インチラインについても2009年度上期中をめどに売却することが検討されているという。

このほか、収益性の低下が見込める開発品種の削減や設計資産流用などの開発手法共通化による効率化、海外開発拠点の活用拡大などを行うことで、2009年度の研究開発予算を前年度比で200億円削減する。

これらの施策により、2009年度で600億円、2010年度で200億円の固定費を削減することが可能としている。

工場の閉鎖および売却を中心に、固定費の削減を進める