イー・モバイルは28日、2年契約を前提として音声通話の基本使用料を月額780円とする新料金プラン「がっちりコース ケータイ定額プラン」を2月7日から提供すると発表した。イー・モバイル同士の通話料は無料で、オプションで2段階のパケット通信定額制も利用できる。

2台目ケータイの決定版ががっちりコース

業界最安値の月額料金で、イー・モバイル同士なら24時間話し放題。右は同社の阿部基成副社長

これまで同社では音声サービス向けに、1,000~4,980円のパケット通信料金のみで音声の基本使用料がかからない「ケータイプラン」を提供していた。これは、携帯単体またはPCにつないでのデータ通信がメインのユーザー向けのプランとなっており、音声通話をしなければ音声の料金がかからない。

従来の料金プラン(下のスマートコース)では、データが定額で、音声は従量課金だったが、がっちりコースではデータが従量課金となる

これに対して新プランとなるがっちりコースでは、逆にデータ通信料の基本料金をなくし、データ通信を使った場合は従量課金となる、音声の基本使用料を最安で月額780円と抑えた。オプションでデータ定額を加えることもでき、その場合は月額1,000~4,980円の2段階の定額(1,000円分の無料通信を含む)で利用できる。

料金の詳細

780円で利用するには、2年間の契約を条件に端末料金など初期費用から16,800円を割り引く「にねん」契約、または1年間の利用を条件とするベーシック契約の「年とく割」利用で基本料金が780円となる。通常の契約の場合は月額1,780円だ。

このプランでは、イー・モバイル同士の通話とSMSの送受信は24時間無料で、固定・他社携帯・PHSあては30秒21円。月額315円の通話割引オプションを追加することで、固定あては30秒5.25円、携帯・PHSあては30秒9.45円に割り引かれる。

同社では今回のプランについて「2台目ケータイの決定版」と位置づける。現在、他の携帯事業者の料金プランでは、おおむね月額980円が最低ラインで「横並び」(執行役員副社長・阿部基成氏)となっている。これに対して同社ではそれより安い月額料金を実現。イー・モバイル同士であれば月額780円のみで通話し放題であり、家族や仲間内でみんなが2台目として持つという2台目需要を掘り起こしていくことが狙いだ。

阿部副社長は、家計における携帯の支出が2002年と比べて5割増となっているという現状を指摘。データ通信で同社は「画期的で安い」(同)サービスを実現したが、今回のがっちりコースで音声でも低価格を実現した。

複数の人でイー・モバイルを利用すると音声通話が特に安くなる

携帯の支出は増加し続けている

同社の千本倖生会長は、「日本が(世界的な不況で)これだけ苦しくなっているときでも、(生活や仕事でも)電話は必要で、(消費者は)安くていいものを望んでいる」というのが今回のプラン導入の背景にあったという。「本当に安くていいものを提供するのが今年の(イー・モバイルの)使命ではないか」(千本会長)。

千本倖生会長

月額980円という横並びの料金は「アンタッチャブル」と千本会長。企業努力によって基本料金を780円まで下げても「ビジネスとして成立するようなモデルを作った」(同)という。

イー・モバイルはネットブックとの抱き合わせ販売が好調で、すでに100万契約を突破しており、特にデータ通信ユーザーが多い。ネットワークトラフィックは月間の1人平均で「1.9GB程度」(エリック・ガン社長)。最大では1人で300GBも使うユーザーもいるというが、いずれにしてもデータ通信のトラフィックに比べ、音声のトラフィックは「たいしたことがない」(阿部副社長)ので、その分値下げできたようだ。

イー・モバイルの音声ユーザーは累計でも2割程度、毎月の純増ユーザーの中では1割程度だという。データトラフィックへの対応を行ってきており、そもそも音声ユーザーが少ないことで音声ユーザーが増えてもそれを十分にカバーできるのだという。

逆に音声ユーザーの多い他のキャリアは、月額980円のプランを下げるのは「かなり(経営的に)痛いのではないか」とガン社長。音声の少ないイー・モバイルは780円にしても「財務にそんなにインパクトはない」(ガン社長)そうだ。

阿部副社長は、消費者が現在使っている携帯に「そこそこ満足していると思う」と指摘。あえて他のキャリアからユーザーを奪うのではなく、低価格なプランで2台目の携帯として新規ユーザーを獲得し、純増ユーザーの2割を音声ユーザーにすることを目標とする。

同社のデータカードと組み合わせたり、他社との組み合わせでもかまわない、と同社

それによって音声ユーザーが増えることでARPU(ユーザー一人当たりの平均収入)の増加に加え、音声ユーザーの増加で他社からの接続料収入も期待できる。また、同社は携帯事業への新規参入組として、総務省からの周波数割り当てはユーザー数に応じた形となっている。現在は5MHz幅の割り当てを受けているが、さらに割り当てを受けるには250万ユーザーを超える必要がある。同社にとっては音声ユーザーを2台目需要で増やし、早期に250万ユーザーを突破することが大きな狙いだ。

同社では、消費者にまずは音声サービスを試してもらいたいとして、「TRY! イー・モバイル キャンペーン」と題して、がっちりコースを新規で申し込んだ個人のユーザーに対し、最大3カ月間、毎月の通話料を最大5,000円割り引くキャンペーンを実施する。他社携帯・PHS、固定あてだけでなく、国際通話も含めて割引を行う。

キャンペーンの詳細

すでに発表済みの音声向け端末2機種が2月に発売される