「こんな世の中だから夢なんて感じてない人が多いのでは……と心配していましたが、文字通り夢にあふれた作品が多くて意外なぐらいでした」と話すのは、27日に入賞作が発表された「第6回新一筆啓上賞」の事務局担当者。不景気で暗いニュースが続く中にもかかわらず愛と希望にあふれた作品が多く、主催者側も「人はまだまだ大いに夢にあふれているのですね」と"ほっこり"した様子だ。

同賞は今回で6回目。海外を含めた61,283通の応募から、入賞作品が発表された。見事大賞に輝いたのは5作品。うち、「時々お前の夢を見る。子供たちにも出てやってくれ。」は、23回忌を迎えた妻に向けた64歳の男性の作品。また、自閉症の息子にあてて42歳の母親が書いた「Dデビュー14年目 R理解も E遠慮もなく A明日だって M無我夢中の母に目もくれず君は」(大賞)は「DREAM(夢)」と語呂をかけたもの。亡き妻や自閉症の息子への愛情が切なさとともに伝わってくる。

また、13歳の女子中学生の作品「(虹へ)背中の上、失礼します。」(大賞)について、同賞の事務局長は「虹の彼方には夢があり、その夢への架け橋が虹。自分もその架け橋を通れるのだ、という深い意味が込められている」と感心しきり。が、一方で「お父さん」あてに47歳の男性が書いたこんな手紙も……。「酔うと『夢を語れ』と言い、怒ると『夢みたいな事を言うな』と言う。どっちが本当?」(秀作)

入賞作品を集めた作品集は4月に発売される予定。"夢にあふれた"一冊で幸せ気分を味わってみては―。