アメリカの新たな歴史の幕開けが数時間後に迫っている。1776年のアメリカ独立から2世紀以上を経て、初めての黒人大統領となるオバマ氏の大統領就任式は、20日11時半(ワシントン現地時間、日本時間21日1時半)に予定されている。

アメリカ市民のみならず、世界からも注目を集めるこの就任式だが、オバマ氏側の陣営は「インターネットを使って全米中から共有できるようにする」としてライブ中継の準備を進めるほか、ケーブルテレビ向けニュース専門チャンネルのCNNネットワークが、マイクロソフトの3D写真ビューア「Photosynth」(関連記事)を使った市民参加型スペシャルレポートサイトを公開するなど、まさに新時代のリアル&ネット大統領就任式となりそうだ。

就任式オフィシャルサイトでストリーミング中継

就任式の様子は、ラジオ、テレビ、インターネットを使って45の言語で中継される予定という。ネットでは、各メディアの公式サイトなどがそれぞれストリーミングを予定している大統領就任式委員会(PIC)は、同公式サイトでMicrosoftの「Silverlight」を使ったライブストリーミング配信を行う(要Silverlight 2)。

米の3大ネットワークであるABCCBS、NBCもライブ中継を行う。NBCとマイクロソフトとは、共同サイト「MSNBC」に特設ページを開設している。

就任式までのオバマ氏……

オバマ一家は、まず教会に向かい礼拝を済ませてから、ブッシュ夫妻とホワイトハウスにて落ち合いコーヒーを飲むそうだ。その後、両夫妻は一緒にホワイトハウスを出て合衆国議会議事堂へと向かう。午前11時半より儀式がスタートした後、12時頃がオバマ氏の演説の予定となっている。その後、議事堂からホワイトハウスに向けての恒例のパレードを行い、大統領夫妻としてホワイトハウス入りをする。

PICのサイトで、パレードを行うNATIONAL MALLのアクセスマップがダウンロードできる。これを見ながらパレードの中継を見ると雰囲気がつかめて楽しめるそうだ。

TwitterflickrYouTubeは、PICと公式契約を交わし、大統領就任式ページを設けている。広場に集まった若者たちが、iPhoneやモバイルを使ってTwitterやFacebookなどにコメントや写真をライブでアップするといった光景も多く見られそうだ。

究極のフォトシェアリング!?

大統領就任式委員会による公式サイトには、「Barak Obama The Official Inaugural book」と題したオンラインフォトギャラリーが用意されている

バラク・オバマ氏のPICによる公式サイトには、「Barak Obama The Official Inaugural book」と題した就任式記念フォトギャラリーが用意されている。同サイトには就任式イベントの期間中にアサインされたプロのカメラマンたちによる様々な角度からの写真が並ぶ「オフィシャルギャラリー」、一般市民からの「投稿サイト」、自分専用のオリジナルフォトギャラリーを作れる「カスタマイズサイト」がある。就任式に集まる様子であったり、家庭での様子であったり、メモリアルを祝う市民の今の様子が、パソコンや携帯電話からアップロードされている。皆、歴史的瞬間の一部になりたいといった感じなのだろう。写真/動画共有サイト「Photobucket」と連動しており、スライドショーなどを楽しめる。

CNNが「Photosynth」で歴史的瞬間を3Dフォト化

CNNはマイクロソフトの「Photosynth」を使って歴史的瞬間を3D化にして公開する。「Photosynth」は、複数の写真を繋ぎ、3次元空間として再現する画像処理サービス

CNNの、マイクロソフトの「Photosynth」を使っての試みも楽しみだ。同チャンネルでは、CNNは、朝から就任式関連のニュースの間に「デジカメ、モバイルなど手持ちのカメラで、とにかく"その瞬間"の写真を送ってください」と呼びかけている。その瞬間とは、オバマ氏がリンカーン記念堂で聖書に片手を置き、片手を上げて宣誓を行う瞬間のことだ。

就任式には、約200万人集まるのではないかとも言われているが、CNNのキャスターは「少なく見積もっても100万人の人たちが一人10枚の写真を撮ったら1,000万枚となる。もっとも多くの写真が撮影される歴史的な瞬間となるかもしれません」と言っている。投稿先のアドレスもずばり「ザ・モーメント(themoment@cnn.com)」。集められた写真は「Photosynth」の技術を使って、これまでにないような画期的な3次元化。1~2時間後には、CNNのインタラクティブサイト「The Moment」で公表する予定という。

就任式には、トム・ハンクスやオプラ・ウィンフリー、タイガー・ウッズなども参加、祝福スピーチを表明している。何よりも市民が関心を寄せる就任演説では、いったいどのような名言が飛び出るのだろうか。朝早くからアメリカ市民たちが続々とNATIONAL MALLの広場に集まり始めている様子を見ていると厳粛な儀式というよりも、ワクワク感の伝わってくるお祭りのような印象を受ける。せっかくなので日本からも、政治を超えた「オバマイベント」をバーチャルで楽しんでしまおう。