ゼットエムピー(ZMP)は17日、首都大学東京と共同で、音楽ロボット「miuro(ミューロ)」を使った「次世代音楽配信サービス」の研究を開始したと発表した。ZMPのロボット技術、首都大学東京のウェブ・インテリジェンス技術の融合により、高精度な楽曲レコメンドサービスを目指す。

「miuro」を持つZMPの谷口恒・代表取締役社長(左)と首都大学東京システムデザイン学部の高間康史・准教授

両者の役割分担。主に、クライアントサイドがZMP、サーバーサイドが首都大学東京の研究範囲となる

音楽ロボット「miuro」は、2006年8月に発表された同社の製品。車輪を搭載しており、自律的に動き回るミュージックプレイヤーとして話題になった。2007年12月に初回ロット(500台)が完売となっており、現在は購入することはできない。

同社の谷口恒・代表取締役社長は、「音楽ロボットという新ジャンルを提案して、新しい音楽の楽しみ方を提供できた。ソニーからもRollyという製品が出てきた」と一定の満足感を示しつつも、「miuroのゴールはミュージック・コンシェルジュ。ユーザーのそばにいて、自動的に生活パターンを蓄積、好みの音楽を薦めてくれるようにしたい」と今回の研究の狙いを説明する。

サーバーサイドのレコメンドエンジンは、首都大学東京システムデザイン学部の高間康史・准教授が開発したTV番組推薦技術をベースに開発する。またZMPは、miuroで再生履歴やユーザーの好みを収集する仕組みを構築する。例えば、好きな楽曲だった場合はmiuroを撫でる、嫌いな場合は叩くようにすれば、簡単に好みを収集できる。また部屋にビーコンを設置するなどして、楽曲を再生した場所・時間などの情報も集めれば、状況に応じたレコメンドが可能になる。

PCで楽曲の好き嫌いを入力するのは煩雑だが…

miuroのタッチセンサーを使えば簡単

シチュエーションをタグ付けするのも面倒だが…

miuroで位置情報が得られれば、自動化できる

また、miuroとWEBを連携させた「シチュエーション・ターゲティング」の研究も進める。miuroで聴いている音楽とPCで閲覧しているWEBサイトを連携させるもので、例えば、再生中の音楽に関連のある広告をブラウザに表示したり、逆に閲覧中のサイトに関連した音楽をmiuroから配信するようなことが考えられている。

音楽からWEBへの連携

逆にWEBから音楽への連携も

同社は現在をmiuroの「ステップ2」と位置付ける。ステップ1が初回ロットの販売で、アプリケーションの研究・開発を進めるのがステップ2だ。同日、そのためのSDKの受注も開始しており、様々なアプリケーションやサービスが展開されるステップ3に繋げる考え。谷口社長によれば、例えばISPが自社サービスの1つとしてmiuroによる音楽配信を採用し、ユーザーにはmiuroをレンタルという形で提供するようなことが想定されるそうだ。

SDKの受注を開始。またmiuroを用いたサービスの受託開発も受け付ける

商用サービスが展開されるのは、2009年~2010年あたりを想定している