米Sun Microsystemsは12月4日(現地時間)、RIA(Rich Internet Application)プラットフォーム「JavaFX 1.0」をリリースした。テキストコーディング中心だった従来のJavaとは異なり、ユーザーアプリケーションに対して音声/動画/アニメーションといったビジュアル要素をより簡単に実装できる。またJavaFXの特徴として、Webブラウザ上のアプレットをデスクトップ上にドラッグ&ドロップして簡単に展開できるなど、Webブラウザとデスクトップをより密に連携する仕組みが挙げられる。

JavaFXは2007年のJava Oneで初めて公開されて以来、AdobeのFlash / FlexやMicrosoftのSilverlightに対抗する技術として注目を集めてきた。従来までのJavaは主に専業プログラマをターゲットとしていたため、フロントエンドアプリケーションを開発するデザイナなどの層には比較的敷居の高いものだった。JavaFXはRIAで要求されるようなビジュアルエフェクトやインタラクションを簡単に実装できるように設計されており、市場ニーズと既存の製品ポートフォリオのすき間を埋めることを狙う。

「インターネット市場はWebブラウザの中で進化し、そして伝統的なWebブラウザの領域を越えようとしている。これらはRIMのBlackBerryからAmazonのKindleまで、Javaベースのスマートフォンや消費者家電の普及によって成されている。今回発表したJavaFXプラットフォームは、このような何十億ものデバイスに広がるJava技術と、高品質ビデオ/オーディオを備えた使いやすいオープンソースプラットフォームを一体化させたものだ。ターゲットは世界中のコンシューマとコンテンツホルダー、そしてインターネット全体である」と米Sun Microsystems社長兼CEOのJonathan Schwartz氏はコメントする。同社によれば、現在90%以上のデスクトップ/ノートPCと85%以上のモバイル機器にJavaが搭載されている。さらには次世代TVやBlu-rayプレイヤー、セットトップボックス(STB)にも市場を広げつつあり、Java技術のさらなる拡大に意欲を燃やす。

JavaFX 1.0では、ビデオサポートと3つの主要コンポーネントのほか、サンプルコードや各種チュートリアルを含むSDKが提供される。「JavaFX Video Support」ではOn2のコーデック技術を組み込んだ動画エンコード/デコード機能がクラスプラットフォームで利用できる。3つの主要コンポーネント「JavaFX Development Environment」「JavaFX Production Suite」「JavaFX Desktop」はそれぞれ、各種IDE向けプラグイン、デザイナー向けツール、ドラッグ&ドロップ機能を追加するJava SE向けプラグインといった役割を持つ。対応プラットフォームはWindows XP/ VistaまたはMac OS X 10.4以上で、Windowsの場合はJDK 6 Update 7(11以上を推奨)、Mac OSの場合はJDK 5 Update 13以上が必要となる。SDKのみのバージョンのほか、NetBeans 6.5を同梱したバージョン、Adobe製品等のプラグインを含んだJavaFX 1.0 Production Suite(旧名: Project Nile)など、3種類の配布形態が用意されている。詳細はSunのダウンロードページのほか、JavaFXのページを参照のこと。

また携帯プラットフォーム開発者向けにJavaFXのモバイルエミュレータが提供され、2009年春にリリース予定のJavaFX Mobile向けのアプリケーション開発が可能になっている。