青山学院はマイクロソフトの協力のもと、幼稚園から大学院までの教職員や在学生に加え、保護者や卒業生までの利用を想定した新システムを、2009年4月から導入すると発表した。システムは市場規模に換算すると47億円にのぼるという。なお、青山学院とマイクロソフトがそれぞれどれくらいの金額を負担するかは明らかにされていない。

青山学院では21世紀のあるべき姿、進むべき道を明らかにするため、2006年11月に「アカデミック・グランドデザイン」を策定し、重要な柱の一つとして「国際的教育研究ネットワークの構築」を掲げている。今回導入するシステムは、その一環によるものだ。これにより、少子化による志願者確保が難しくなる学校経営力を強化し、国際競争力のある人材の育成を目指す。

学校経営力を強化し、国際競争力のある人材の育成

システムは、Microsoft Live@edu with Exchange Labsによるコミュニケーションツールの提供、Microsoft Dynamics CRMによる在学生や卒業生の情報管理、Active Directoryによるアカウントの一元管理、Microsoft Application Virtualizationを利用した多言語・複数バージョンのアプリケーション利用の4つを柱としており、マイクロソフトのホスティングサービスとして提供される。

Microsoft Live@edu with Exchange Labsによるコミュニケーションツールの提供では、Outlook Web AccessやMicrosoft Office Outlook を使ってPCから、もしくはMicrosoft Exchange Activesyncがインストールされている携帯電話などから、電子メール、連絡先、カレンダーなどの情報にアクセスでき、フォトギャラリやSkyDriveのディスク共有サービスも利用できる。これにより、関係者のコミュニケーションをさらに円滑にするとともに、海外の学校とのコミュニケーションにも活用することで、国際交流を加速させる。

Microsoft Dynamics CRMによる在学生や卒業生の情報管理では、入学時からのすべてのデータを一元管理し、過去の情報を参考にしたより効果的な学習・指導計画の作成行うほか、 卒業生に対しては、寄付金、住所変更、勤務先変更、同窓会管理などのほか、OB/OGと学生とのコミュニケーション手段の提供を行う。

Microsoft Dynamics CRMによる効果

Active Directoryによるアカウントの一元管理では、1回のみの認証という利便性向上のほか、USBやソフトウェアの利用制限など、グループポリシーによる統合的なポリシー管理を行う。

Microsoft Application Virtualization(App-V)の利用では、国内最大規模となる計3,000台からなるシステムを導入し、日本語や英語だけでなく38言語にのぼる多言語・複数バージョンのアプリケーションをスムーズに利用できるようにすることで、留学生のPC利用や、海外の学生との交流を活性化する。

これらのシステムは、2009年4月にまず青山学院の教職員と青山学院大学の在学生の計3万人を対象に提供し、順次その対象を、幼稚園、初等部、中等部、高等部、女子短期大学、大学院の在学生とその保護者、オープンキャンパスの参加者や、青山学院の卒業生の組織である青山学院校友会にまで広げることで、最終的に15万人が活用することを目指す。

青山学院理事長 松澤建氏は、「学術の交流や連携によって、教育カテゴリを世界レベルで展開し、総合的な教育環境の充実を図り、学院の教育力、研究力を高めるため『青山学院次期ICT戦略策定委員会』を設置したが、今回のシステムはその使命を支える大きな役割を果たすものだ」と述べた。

また、マイクロソフト代表執行役社長 樋口泰行氏は、「今回のシステムは、ワールドワイドで最大規模の導入事例となる。CRMや仮想化のApp-Vは、一般企業のビジネス向けに導入されているが、今後は学校経営においても一般的になってくる」と述べた。

青山学院理事長 松澤建氏(右)とマイクロソフト代表執行役社長 樋口泰行氏(左)