富士通は11月14日、同社の組み込みソフトウェア「Inspirium」の内3製品について、機能強化を行った新バージョンを発表した。

新バージョンとなったのは、組み込みブラウザ「Inspirium HTMLブラウザ V4.0」およびデジタル著作権管理ソフトウェア「Inspirium DRM サーバ for Marlin V3.0」「Inspirium DRM ライブラリ for Malin V3.0」の3製品。

「Inspirium」の全体像。今回は3製品が機能強化された

HTMLブラウザは、カスタマイズ機構を持つユーザーインタフェース基盤を有し、AjaxやRSSにも対応しており、組み込み向けブラウザでは一般的に難しいといわれるPCサイトのコンテンツを90%程度カバーすることができる。また、SSL認証やかな漢字変換、メーラ、音声読み上げ、自動最適レイアウトなどの機能も有している。

富士通 ソフトウェア事業本部 組込みソフトウェアテクノロジ事業部 事業部長 長田格氏

今回のバージョンでは、「WebDAV(Web-based Distributed Authoring and Versioning)」や「XSLT(XSL Transformations) 1.0」などの機能が追加された。WebDAVは、通常、読み込みしかできないHTTPをファイルアクセス可能に拡張したプロトコルで、「これを用いることで、ブラウザだけでファイル転送ができるし、セキュリティ化しやすいため、インターネット上で安全にデータのやり取りができる」(富士通 ソフトウェア事業本部 組込みソフトウェアテクノロジ事業部 事業部長 長田格氏)という。

機能強化としてWebDAVをサポート

また、XSLT 1.0は、XML文書を多形式の文書に変換するスクリプト言語で、XSLをブラウザ側でHTMLに変換して表示することが可能となる。

XSLTに対応することで、PC以外でもXMLを表示できるようになる

デジタル著作権管理ソフトウェアの2製品は、Marlinプロトコルによるコンテンツに対応したデジタル著作権管理システムで、主にIPTV向けコンテンツ配信サービスを実現するDRMミドルウェア。新バージョンでは、既存のVODやIPマルチキャストでの配信に加え、Marlin IPTV-ESのダウンロード仕様(Direct Key Delivery機能)をサポートしたことにより、デジタルTVやSTBなどでの、ダウンロード型コンテンツ配信サービスを利用することが可能となった。

Inspirium DRM サーバ/ライブラリ for Marlin V3.0の機能と強化点

同機能は、ツタヤオンラインが2008年12月より開始するHD映像配信サービス「TSUTAYA TV」の「アクトビラ ビデオ/ダウンロードサービス」対応端末向けサービスに対し、ネットTV向け高画質映像配信プラットフォームサービス「FENICS IP ビデオ配信サービス」の一部として提供されることが決定している。

ツタヤオンラインの「アクトビラ ビデオ/ダウンロードサービス」対応端末向けサービスに搭載される

各製品の動作環境はHTMLブラウザが"Linux""Windows""μITRON"など、DRMサーバが"Linux""Solaris"、DRMライブラリが"Linux""Windwos""μITRON"など、となっており、価格はそれぞれの案件に応じて個別見積もりとなっている。

なお、同社では、今回の新バージョン3製品を含めたInspiriumシリーズ全体で、3年間で60億円の売り上げを見込んでいる。