NECは、同社および同社の現地法人であるNECヨーロッパ傘下のNEC欧州研究所が、車車間通信システムのプロトタイプ「LinkBird-MX」を開発したと発表した。 同システムは、10月22日および23日にドイツ・ドューデンホーフェンで開催したCAR 2 CAR Forum and Demonstrationの車車間通信システムに関する実証実験において、合計15台が利用されたという。

車車間通信システムは、道路沿いや交差点などに配置される路側インフラを中継せず、車同士が直接情報を交換できるシステム。交通事故の発生場所やこれから向かう道の渋滞情報などを対向車や前後の車と通信して取得し、運転時の安心・安全に関わる情報をより迅速に取得可能になることが期待されている。

LinkBird-MXは、NEC欧州研究所が開発した車車間通信プロトコルの制御ソフトウェア「C2X-SDK」を中核に、車載用の装置として実現したもの。C2X-SDKは現在の車の位置情報を他の車に通知する機能に加え、その位置情報を元に情報の伝送経路をリアルタイムに変更するPBRV(Position Based Routing for Vehicular ad-hoc networks)機能を実装、複数の車を中継した通信(マルチホップ通信)も実現するとしている。

LinkBird-MXの前面

LinkBird-MXの背面

ドイツで行われた実証実験に参加した主要自動車メーカー9社のうちダイムラー、フィアット、ホンダ、オペル、フォルクスワーゲンの5社がLinkBird-MXを採用したという。

NECは、LinkBird-MXを16日から米ニューヨークで開催予定のITS世界会議展示会に出展するのに加え、国内では総務省のユビキタス特区における車車間通信の実証実験に応用していく予定だ。

今後は国内外の車車間通信の実証実験を通じ、安心・安全な道路交通社会の実現に貢献していくという。