いわゆる「IPTV法(インターネットマルチメディア放送事業法)」の施行令が国会を通過したことで、現行のテレビ放送のような形でチャンネル上で番組を放送できる、リアルタイム放送が可能となった。

リアルタイム放送で先陣を切るのは、「MegaTV」というIPTVサービスを行っているKTだ。同社では10月に、KBS、SBSと番組のリアルタイム放送に関して合意したのに続き、11月12日にはMBCと同様の内容に関して契約を行い、すべての地上波放送局の番組をリアルタイム放送できることとなった。

KTではリアルタイム放送に関する方針として「既存の放送と違い、視聴者がリアルタイムで生放送に参加したり、番組を見ながら関連情報を検索したり、テレビ画面で商取引をしたりするといった、IPTVだけの差別化されたサービスを提供する」と述べていたが、実際にこうした番組が登場しようとしている。

KTは11月17日から「MegaTVライブ」と名付けられたライブ放送で、クイズバラエティショーの「Mega Time 正時クイズ」を放送する予定だ。これはKTが独自制作した番組で、視聴者は番組を見ながらこれに参加することが可能だ。10、11、12時といった時間に各番組で出題される問題にリモコンで答えるという形式。クイズは毎日3問ずつ、全番組合計で100題出され、もっとも素早く、かつ多く正解を送った人には、車などの景品が当たることとなっている。

同社では、地上波番組のリアルタイム放送においても同様に、視聴者との双方向コミュニケーションが可能な放送を目指す意思を明らかにしている。

SK BroadbandやLG DACOMといった他事業者も、12月からこうしたリアルタイム放送を開始するとしている。KBS、SBS、MBCといった放送各局との合意も進められており、順調にいけば年内にすべてのIPTVで地上波放送が見られることになる。

IPTVの本格的な活性化で、緊張感が増しているのがケーブルテレビ陣営だ。これら業者は、デジタル放送をアナログ放送の料金のままで視聴できるサービスや、ブロードバンドとセットになったお得な料金などで、IPTVに対抗しようとしている。

IPTV3社がリアルタイム放送を開始する頃には、これら3社間の競争だけでなく、ケーブルテレビ対IPTVといった競争も起こることが予想され、放送界における競争が一層激化すると見られる。