2009年4月にオープンする新しいヤンキー・スタジアムに、米Ciscoの「StadiumVision」が採用される。米国時間の11月11日にニューヨークで行われた記者会見で明らかにされた。

StadiumVisionは、スタジアム向けコンテンツ配信やコミュニケーション機能を統合的に提供するシステム。スタジアム内のモニターに試合のライブ映像やカスタマイズしたコンテンツを配信、インタラクティブなサービスの提供を実現する。「ヤンキースの長い伝統を守りながら、その上でファンに最新テクノロジを駆使した観戦体験を提供する」という。

Cisco CEOのJohn Chambers氏

ヤンキースのプレジデントHal Steinbrenner とChambers氏

この日は2つのサービスが発表された。1つは、すべての来場者向けのHDビデオ配信サービス。フィールドのほか、グレートホール、ミュージアム、売店エリア、レストランなど、スタジアム全体にHDモニターを設置。試合のライブHDビデオを常時配信し、スタジアムのどこにいても試合の進行をチェックできるようにする。モニターではライブビデオ以外にも、スコア、天気情報、ニュース、トリビアクイズなどを提供する。集中制御されたシステムであるため、イベントの状況やロケーションに応じて柔軟にサービスをカスタマイズできる。たとえば試合終了後は、モニターに出口への案内や周囲のトラフィック情報などを表示する。ヤンキースのゲーム以外でも、コンサート、カンファレンスなど幅広いイベントに利用可能。結婚式や会社の行事など小規模イベントにも対応できるという。

もう1つは、プレミアスーツ向けサービス。タッチスクリーンのIPフォンが設置され、売店やレストランからの食べ物やヤンキース・グッズを座席からオーダーしてデリバリーしてもらえる。

StadiumVisionをどのように活用するかはスタジアム側のアイディア次第。たとえばヤンキー・スタジアムは、試合前後に選手が観客とコミュニケーションできるインタラクティブなビデオ技術を備えるそうだ。また常にテクノロジーがアップグレードされていくという。将来のサービス例として、モバイル・デバイスを利用した食べ物やグッズの注文、ライブビデオのリプレイ、観客同士のチャットなどが挙げられた。

Ciscoの技術を採用した次世代スタジアムの計画が発表されるのは今回が初めてではない。他の例ではカリフォルニア州フレモントにCiscoが所有している土地に、Cisco Fieldという新スタジアムを建築する計画が進んでいる。2012年にオープンし、オークランド・アスレチックスの新本拠地になる予定だ。Ciscoが命名権の30年契約を交わしており、同スタジアムにも同社のネットワーキング技術が導入される。こちらはスタジアムだけではなく、宿泊施設、レストラン、小売店、その他の地域社会向け施設などで構成されるベースボールビレッジになる。スポーツにとどまらず、コミュニティ規模で同社の技術が利用される見通しだ。