アリババは11日、中国市場への輸出を目指す企業や個人事業主に対し、中国の輸入業者とのビジネスマッチングや交渉、決済などの総合的支援を行う「中国向け輸出支援サービス」を、2009年1月12日より提供開始すると発表した。同社は、中国でBtoB取引サイト「アリババ」などを展開するアリババグループの日本法人。11日から、利用モニターの先行募集を開始する。

アリババグループは、中国で最大のBtoB取引サイト「アリババ」や、BtoC、CtoC取引サイト「タオバオ(淘宝網)」などを展開している

アリババグループは中国で最大のBtoB取引サイト「アリババ」を展開するほか、BtoC、CtoC取引サイト「タオバオ(淘宝網)」などを展開するECサイト最大手。日本においては、ソフトバンクグループとの合弁会社であるアリババを設立している。

これまで同社においては、中国の商品を日本のバイヤーに卸売りする仲介サービスを行ってきたが、今回、日本の商品を中国のバイヤーに卸売りするための「中国向け輸出支援サービス」を開始することにした。

日本の企業や個人事業主が売りたい製品の情報をサイト上に入力すると、自動的に中国語に翻訳

中国側バイヤーからの日本側へのメッセージも、項目に応じて自動的に翻訳できるようになっている

アリババでは、中国向け輸出支援サービスの開始にあたって、「ビジネスチャンスは巨大中国市場にあり! 」と題したフォーラムを実施。同フォーラムでは、アリババ代表取締役社長の香山誠氏が、同サービスの説明を行った。

香山氏はまず、中国向け輸出支援サービスを実施するにあたっての障害になりうるものとして、(1)取引先探しの壁、(2)言葉の壁、(3)貿易実務の壁、の3つの壁があると指摘。

その上で、1の取引先探しについては、中国のアリババグループが持つ2,000万社を超えるバイヤー層を紹介することでクリアできると言明。また、2の言葉の壁については、翻訳サービスを提供することで、克服できると強調した。

「景気が悪い今だからこそ、巨大な市場を持つ中国に打って出てはどうか」と呼びかけた孫正義氏(左)と、ジャック・マー氏(中央)、香山誠氏(右)

同サービスでは、企業や個人事業主が売りたい製品の情報をサイト上に入力すると、自動的に中国語に翻訳し、中国のバイヤーがすぐ内容を理解できるようになっている。また、サンプルの送付依頼など、中国側バイヤーからの日本側へのメッセージも、項目に応じて自動的に翻訳できるようになっている。

3の貿易実務の壁については、「最も重要な部分」と位置づけた上で、サイト上で物流業者の一括見積もりが可能な点や、アリババグループが中国で展開しているバイヤーのデポジット(資金預託)による、「安全・安心な決済サービス」によって、安全な取引を実現できると述べた。

香山氏は、「決済の一つのやり方として、バイヤーがアリババの提携パートナーシップ企業に資金を預託し、売り手側の商品が中国で税関処理を終わった段階で、預託金から売り手側に送金するといった仕組みが考えられる」と話した。

今後のスケジュールについては、11日から利用モニター先行募集を開始(12月15日まで、モニター登録サイトは http://etc.alibaba-inc.jp/ )

12月15日から国内出店企業の正式登録を開始し、2009年1月12日から中国向け輸出支援サービスサイトを開設する。

香山氏の説明に先立って行われたフォーラムのセッションには、中国のアリババグループとその日本法人双方に出資しているソフトバンクグループ代表の孫正義氏と、アリババグループ会長兼CEOのジャック・マー氏が参加。

孫氏は、「政府が悪い、首相が悪いと言っても景気は良くならないので、自分で自分を助けるべき。日中関係は悪いと言われているが、中国のアリババやタオバオ(淘宝網)では、多くのバイヤーが日本の品質のいい商品を仕入れしたがっている。景気が悪い今だからこそ、巨大な市場を持つ中国に打って出てはどうだろうか」と呼びかけた。

マー氏も、「今後10年の間に、世界で最も大きなバイヤー市場は中国になる。日本の中小企業の皆さんもぜひ起業家精神を発揮し、中国に進出してほしい」と訴えた。

出店価格は月額5万円だが、12月15日までの先行モニター登録キャンペーン中に申し込めば、2009年12月31日までの約1年間、月額出店料が無料になるサービスを行うとしている。