IBMのグループ企業であるコグノスは31日、ビジネス分析ソリューション「IBM Cognos TM1」、および業績管理ソリューション「IBM Cognos 8 v4」を12月初旬より販売開始すると発表。同製品に関する記者発表を開催した。

IODの実現に向けて新たなソリューション体系を構築

日本IBM 専務執行役員 ソフトウェア事業担当の三浦浩氏

日本IBM 専務執行役員 ソフトウェア事業担当の三浦浩氏は「これまでIBMでは全社的にSOA(Service Oriented Architecture)への取り組みを強化してきましたが、日本IBM ソフトウェア事業の施策としては、この"SOAの更なる推進"に"業界ごとのソリューション提供"と"イノベーションを加速する5分野のソリューション推進"を加えた3つの軸で、お客様のイノベーション実現を支援する高付加価値のソリューションを展開していきます」と語る。

SOAの推進については、IBMが2004年9月からいち早くSOAへの取り組みを開始したことを活かし、ソフトウェア事業だけでなくサービス事業を含む統合された価値として提供。豊富な経験に基づき一連のガイドやロードマップを体系化した「smartSOA」も引き続き推進している。

SOAに対するIBMの取り組み実績と、更なる「smartSOA」の推進

業界ごとのソリューション提供に関しては、各業界で実績のあるプロセス/データ/サービスモデルに基づいて、6種類のフレームワークを用意。SOAデザインで柔軟性と迅速性を、オープン技術で接続性と協調性を提供するほか、既存のIT資産やパッケージ・サービスを活用できるのも特徴だ。

「製造」「流通」「保険」「銀行」「医療」「通信」という6種類のフレームワークを用意

イノベーションを加速する5分野のソリューション推進では、顧客の課題に対応する「業務生産性向上」「インフォメーション・オンデマンド(以下、IOD)」「サービス管理運用」「ソフトウェア ライフサイクルマネジメント」「ビジネスプロセスの柔軟性」の各分野を設定。中でも2006年2月よりIMBが提唱してきたIODは特に注力しており、三浦氏は「このコンセプトに合わせて企業買収を含む製品強化を行ってきました」と語る。

イノベーションを加速する5分野のソリューション

さらに三浦氏は「ハードウェアビジネスの分析ではストレージ分野が非常に伸びており、これは顧客の持つ情報量が急増していることを端的に表しています」と語る。このような背景から、企業の業績パフォーマンスを最大化するIODの実現に向けて、爆発的に増えている情報を段階的に管理・統合・分析する新しいソリューション体系を構築。IBMで過去最大となる昨年のCognos買収により分析部分が実現し、IODのビジョンがコンポーネントとして完成したことになる。

IOD実現を支援する新しいソリューション体系

日本IBM ソフトウェア事業 インフォメーション・マネジメント事業部 BI&パフォーマンス・マネジメント事業開発担当 兼 コグノス株式会社 代表取締役社長 細井一雄氏

一方でコグノス側の視点では、日本IBM ソフトウェア事業 インフォメーション・マネジメント事業部 BI&パフォーマンス・マネジメント事業開発担当 兼 コグノス株式会社 代表取締役社長 細井一雄氏が「IBMとの経営統合を機に"BI中心のベンダー"から"パフォーマンス文化を支援するためのベンダー"に変わっていきたいです」とし、ベストプラクティスに基づくソリューション提供や、パフォーマンス文化を定着させるための基盤と製品群の提供を行うという。さらに、IBMとのシナジー最大化やコグノスの既存パートナーに対する協業の加速、パフォーマンス領域へのパートナー施策実施など、パートナー戦略も大幅に強化される。

インメモリ型OLAPサーバの採用や連携強化を実施

日本IBM ソフトウェア事業 インフォメーション・マネジメント事業部 BI&パフォーマンス・マネジメント・マーケティング担当 高澤正道氏

続いて日本IBM ソフトウェア事業 インフォメーション・マネジメント事業部 BI&パフォーマンス・マネジメント・マーケティング担当 高澤正道氏より、新製品の詳細に関する解説が行われた。

「IBM Cognos TM1」は、企業の計画・予算・予測およびデータ分析を高いパフォーマンスと集中管理で実現するビジネス分析ソリューションだ。64bitのインメモリ型OLAPサーバとデータ書き込み前提の設計により、500ユーザー想定の読込・書込処理に対して99.6%の処理が2.5秒以下で対応できる高い処理速度を実現。海外では既に2000社の実績があり、高澤氏は「他社製品と比べてクエリパフォーマンスに不満を感じるお客様が圧倒的に少なくなっています」と語る。

日本におけるCognos製品の歴史

また、必要に応じてユーザーによる変更・即時反映が可能な協調性の高いビジネスモデル、Excelとの高い親和性、財務・経理部門が主導するアプリケーション開発と展開、「IBM Cognos 8 BI」および「IBM Cognos 8 Planning」との統合なども特徴といえる。

圧倒的な処理速度でクエリパフォーマンスに不満を感じさせない「IBM Cognos TM1」

「IBM Cognos 8 v4」は、エンタープライズBI製品「IBM Cognos 8 BI 8.4」とエンタープライズ・プランニング製品「IBM Cognos 8 Planning 8.4」で構成された最新版の業績管理ソリューションだ。今回新たに企業向けデータウェアハウス情報ミドルウェア「IBM InfoSphere Warehouse」、統合データ管理ソフトウェア「IBM InfoSphere Data Architect」、「IBM InfoSphere」製品シリーズのネーミング標準化機能「IBM InfoSphere Business Glossary」など、IBMの情報統合ソリューション「InfoSphere」シリーズとの機能連携を実現。レポートに使用されたデータの出典を系統化して確認できる新機能「データリネージ機能」が追加されたことにより、InfoSphereで管理されたデータウェアハウスから「IBM Cognos 8」で作成したBI情報まで一貫性のある情報活用も可能になった。

さらに、Flashベースのセルフサービス型ダッシュボード作成機能「IBM Cognos 8 Go! Dashboard」も新たに追加された。従来のダッシュボード機能と比べてパーソナライズ性を大幅に強化しており、ユーザーがドラッグ&ドロップで容易にダッシュボードの作成や変更が可能。業績管理プラットフォーム上のデータを迅速に意思決定へと活かすことができる。

簡単にダッシュボードの作成や変更ができる「IBM Cognos 8 Go! Dashboard」

そのほか、強化されたポイントとして「IBM Cognos 8 Go! Search」機能ではレポートの名称だけでなく中身まで検索した結果の一覧を自動で作成可能。「IBM OmniFind Enterprise Edition」や一般的なエンジンと連携し、WordファイルやPDFファイルなどの非構造化データも使い慣れたインタフェースで閲覧できる。また「IBM Cognos 8 Go! Mobile」機能に関しては、「IBM Cognos 8」のスケジュール機能と統合することで設定したスケジュールに合わせたスマートフォンへのレポート送信が可能。スマートフォン上で直接実行可能なプロンプトを使用した「半定型レポート」、大量のビジネス・レポーティングに有用な「バースト・レポート」、国・地域・市町村などの関連情報を段階的に絞り込む「カスケード・プロンプト」も追加されている。

参考価格については、「IBM Cognos TM1」がモデル管理者とシステム管理者の計2人と一般ユーザー25人で約980万円を予定。「IBM Cognos 8 v4」はシステム管理者1人、非定形データ検索10人、レポート閲覧者90人で約1200万円を予定している。