Google Apps - 企業向けにサービスを提供している分野のひとつ

Googleの基本的な経営戦略は広告事業だ。コンシューマに対して無償のネットワークサービスを提供し、多くのユーザが利用するサービスを構築したところで広告事業を展開する。ただし売上の割合としては少ないものの、エンタープライズ向けにプロダクトの販売や有償サービスの提供もおこなっている。そのひとつがGoogle Appsだ。GoogleはGoogle Appsにおいてもコンシューマと同じ手法が適用できると考えているようだ。

企業活動における情報系技術の採用は開発の速度と比較するとえてしてサイクルが長い。最新の技術をキャッチアップして適用していく企業はそれほど多くないわけだ。技術の採用は組織だって決定され、実験的に新しい技術を取り込んで活用しようと考えることもあまり多くないというのが現状だ。

Google Apps Goes Experimental with Google LabsにおいてGoogle Apps Product Manager、Gabe Cohen氏は、実験的な取り組みは優れたもので、この取り組みはたとえエンタープライズ向けのサービスであるGoogle Appsにおいても例外ではないと考えていることを説明している。その証として、3つの実験的取り組みをGoogle Appsに追加したことを述べている。追加された実験的取り組みは次のとおり。

  • Google Moderator - 質問そのものを選択するためのサービス
  • Google Code Reviews - コードレビューを実施するためのサービス
  • Google Short Links - 内外向けに覚えやすいURLを作成するサービス

これら実験的なサービスはどれもGoogle App Engineで開発されている。Gabe Cohen氏はGoogle Appsをプラットフォームとしてサードパーティベンダが利用できるようにする計画があることも明らかにしており、Google Appsをエンタープライズ向けのSaaSからPaaSへと押し広げる意思があることを示している。

Google AppsのようなSaaSとして提供されているWebアプリケーションを企業で採用するには信頼性やセキュリティという面で検討課題が残る。しかしながら便利であることも間違いなく、今後一定の方向性として伸びつづけることも間違いなさそうだ。GoogleがGoogle Appsを今後もエンタープライズ向けに拡張する意思があることは興味深い。サードパーティ向けにどういった機能を開放することになるのか今後の動向に注目したい。