ウィルコムは28日、新たなPHS端末5機種と新サービス3種類を発表した。人気端末の新機種「HONEY BEE 2」や法人向けの防水機能付端末などに加え、リアルタイムに手書き文字で会話ができる「手描きチャット」や企業向けのPHS管理ソリューションなどを提供する。土橋匡取締役執行役員副社長は、直近の2カ月で連続して契約数が純減するなど市場環境は厳しいとの認識を示しつつ、新端末と新サービスの投入で今後純増に転じていきたい考えを示す。
新サービスの1つ「手描きチャット」は、タッチパネル搭載のスマートフォン「WILLCOM 03」と、その前モデルである「Advanced/W-ZERO3[es]」向けにアプリケーションの形で提供される。サービスの提供元はシャープ。
タッチパネルを使って書き込んだ手書きの文字や端末に保存した画像をリアルタイムに送信し、チャットのように文字で会話ができるサービスで、月額315円で11月7日から提供する。そのほかパケット料金も必要だが、パケット定額制に加入していれば定額で利用できる。
1つの画面内に、ユーザー同士が相互に書き込んだ手書き文字や画像がリアルタイムで共有されることでコミュニケーションが行える。PHS同士は24時間音声通話定額のサービスと、Eメールの完全定額とあわせ、「第3のコミュニケーション」(土橋副社長)との位置づけで、コンシューマーユースでのコミュニケーションだけでなく、ビジネスの現場でも活用してもらいたい考えだ。
実際の利用の際は、シャープが用意したサーバーと対応端末でIPアドレスと「ルームキー」をひも付け、ひもづけられたユーザー同士がP2Pで接続してチャットを行う。ハンドオーバーなどで接続が途切れても、IPアドレスに変更がなければチャットは継続できる。
当面1対1のチャットのみしか行えないが、今後は複数のユーザー同士でチャットが行えるようにすることも検討していく。
料金に関しては、来年3月31日までは月額料金無料で利用できるキャンペーンも実施する。
なお、今回のサービスはシャープが提供するものであり、ウィルコム限定のサービスではないため、今後他の携帯電話事業者向けに同様のサービスが提供される可能性もある。ウィルコムでは、利用ユーザーの拡大につながるため、他事業者向けサービスの開始にも期待を寄せている。
音声通話に関しても新サービスを投入。11月4日から提供開始される「ウィルコム ミーティング」では、最大7人まで同時に音声通話が可能なサービス。利用料は1分あたり10.5円だが、月額1,050円の上限金額が設定されており、それ以上は料金がかからない。通話料については、音声通話の定額サービス「ウィルコム定額プラン」「新つなぎ放題+話し放題」の利用者であれば定額で利用可能。それ以外のプランの場合は1分あたり10.5円の通話料が必要だ。
同時通話を行うには、主催者となる1人が専用のサイトや「ウィルコム ミーティングガジェット」、定型Eメールのいずれかを使ってほかのメンバーを集める。メンバーにはメールが送られ、その中にある電話番号に電話をすることで同時通話が行えるようになる。
なお、11月30日まで利用料・通話料が無料になるキャンペーンも実施する。
ウィルコムでは、音声定額の開始以降、大学生のサークルなどグループでの利用が増大していると指摘。今回のウィルコム ミーティングでその利用をさらに促進し、ARPU(1ユーザーあたりの月間平均収入)も拡大していきたい考えだ。
法人向けのサービスとしては「ビジネス安心サービス」を12月1日から提供開始する。同時発表となった「WX330J」(日本無線製)で利用可能なサービスで、企業の管理者が端末の設定を一括管理できる。
設定できるのはブラウザの利用制限や発信制限、特定の機能制限、リモートでのデータ消去や端末ロック、外部デバイスの動作可否、位置情報の通知などで、管理者がWebブラウザから簡単に設定できるようになる。
サービス利用には、初期登録料として1請求あたり1,050円、月額費用は1回線ごとに210円が必要。
このほか、ウィルコムでは従来のメールアドレスのドメイン「pdx.ne.jp」に加えて、「willcom.com」を利用可能にする。来年1月15日以降の新規取得、変更分から利用可能になる。
ウィルコムは、8月、9月の2カ月連続で、契約数が純減を記録している。大きな要因は法人向けデータ通信の低調だ。イー・モバイルの高速な定額データ通信やiPhone 3Gなどの他社スマートフォンの拡大で、定額データ通信で契約数を伸ばしてきたウィルコムはシェアを奪われた形だ。
HONEY BEEをはじめとする音声端末では順調に契約数を伸ばしてきたが、法人向けデータ通信の減少をカバーしきれずに純減になった。10月に関してはまだ結果は出ていないが、土橋副社長は10月も純減となる可能性を示唆する。
データ需要に関しては、ウィルコムは来年から高速な次世代PHSサービスを、当初はデータ通信向けに開始するため、それまで大がかりな新サービスの投入は難しく、既存サービスで勝負するしかない。それでも、通信モジュール「W-SIM」の改良やRTT(往復遅延時間)が短く、ユーザー数の多い地域でもスループットが低下しにくいといったPHSの利点を武器に法人向けデータ通信の減少を食い止め、拡大につなげていくことを目指す。
また土橋副社長は、携帯電話市場が縮小する中、各社が期待する2台目需要についてはこれまで携帯電話で高額な通話料を支払っていたユーザーが2台目としてPHSを購入して通話料を抑え、2台をうまく使いこなすという動きに期待し、契約数の増加につなげていきたい考えだ。
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