マイクロソフトは、SQL Server 2008に対応したレポート作成ツール「Report Builder 2.0 日本語版」の無償ダウンロード提供を開始したと発表した。ツールは同社のWebサイトよりダウンロードできる。

Report Builder 2.0は、専門的な開発ツールやSQL言語に不慣れな人でも、グラフィカルなレポートの作成を可能にするツール。次期SQL Server(開発コード名「Kilimanjaro」)に向けたセルフサービス型ビジネス インテリジェンス機能を先行提供している。

セルフサービス型ビジネス インテリジェンスとは、業務遂行のためエンドユーザーがIT技術者の手を借りずに作成利用するBIシステムのことだ。

従来SQL Server 2008では、Reporting Servicesに対応したレポート作成環境として、Business Intelligence Development Studioを提供していたが、Visual Studio 2008のシェル インタフェースを搭載しており、開発者向きの機能であった。

マイクロソフト アプリケーションプラットフォーム製品部 エクゼクティブ プロダクトマネージャーの斉藤泰行氏は「従来のBIは、IT技術者がツールを作成し提供する、おもに経営者の意思決定に向けたシステムであり、エンドユーザーには、あまり利用されていなかった」と従来のBIシステムの欠点を説明する。

今回提供するReport Builder 2.0では、2007 Office systemのリボン インタフェースや、データベースへの選択クエリを自動生成するツールを搭載し、専門的な開発ツールやSQLに不慣れな人でも、多次元の表形式、グラフ、チャートおよびゲージなどを含むグラフィカルなレポートの作成を可能にしている。

Report Builder 2.0のトップ画面

データソースの指定。ここでOracleなど他のデータベースの指定もできる

クエリを作成するクエリデザイナ

多次元の表形式

グラフによる表示

ゲージによる表示

AccessやExcelを利用した場合との違いについて「マイクロソフト アプリケーションプラットフォーム製品部 シニア プロダクトマネージャーの北川剛氏は「リアルタイム性」だと説明する。「AccessやExcelでは、一度スプールしたものを利用するが、Report Builderでは、データベースに直接アクセスするので、常に最新のデータで分析できる」と語った。

今回提供したツールはレポート作成機能を中心にしているが、今後は分析を主目的にするExcelのピボットテーブルのようなツール提供を予定しているという。

また、次期 SQL Server「Kilimanjaro」では、セルフサービス型レポート作成機能をさらに発展させ、セルフサービス型の分析サービスを提供する予定だという。また、レポートや分析機能のベースとなる、データ ウェアハウスに関しても機能強化を行う予定だという。Kilimanjaroは、2009年内にプレビュー版の提供、2010年上半期に製品版の提供を予定している。

「Kilimanjarono」ロードマップ

Report Builder 2.0が対応するデータベースは、SQL Serverだけでなく、Hyperion Essbase、ODBC/OLE DB 準拠のデータベース、Oracle、SAP NetWeaver BI、SQL Server Analysis Services多次元データベース、Teradata、XMLにも対応する。

ツール自体は無料だが、データベースのクライアントライセンスは必要になる。

マイクロソフト アプリケーションプラットフォーム製品部 エクゼクティブ プロダクトマネージャーの斉藤泰行氏(右)とマイクロソフト アプリケーションプラットフォーム製品部 シニア プロダクトマネージャーの北川剛氏(左)