「中学生のいじめ」という社会問題に鋭く切り込んだ重松清の短編小説『青い鳥』の映画化作品が19日、東京国際映画祭(Tokyo International Film Festival : TIFF)で先行公開された。上映後には、主演の阿部寛、監督の中西健二、そして主題歌を歌うまきちゃんぐの三名が舞台挨拶に登壇し、それぞれ同作品に対する静かながらも熱い思いを口にした。
『青い鳥』は、生徒の一人がいじめを苦にし自殺未遂を起こした中学校のクラスと、そこに臨時教師として赴任してきた、吃音の教師の物語。現代社会が抱える深刻な問題に正面から向き合い、それでもそこに愛情と希望を見出す作品なだけに、上映後の館内には、良質な作品を見終わった後特有の静寂と余韻が漂っていた。そのような中に監督の中西、そして吃音の教師・村内を演じた阿部が現れると、見た者の感動を反映するかのように、客席からは万雷の拍手が沸き起こる。
その観客の様子を見て、すでに「映画自体が語るべきことを語ってくれた」という雰囲気を察したのだろうか。中西が「今日は、色々と良い作品がある中、『青い鳥』を選んでくださってありがとうございます。この様な場で監督があまりグダグダしゃべるとろくな事になりませんので、ひとつだけ。この映画を見て感じたことがあれば、それを大切に持ち帰って頂ければうれしいです」と語れば、阿部も「いじめという非常に難しい問題がテーマでしたが、多くの言葉を語らず、人の心の奥底に入っていくような作品だったので、自分もやっていて、色々考えさせられました。皆さんにも、それを感じて頂ければと思います」と、両者ともに言葉は少なめだった。
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風来坊的な佇まいと生徒を見つめる優しい視線で、原作とは一味異なる村内先生像を作り上げた阿部(中央)。今作が長編映画初監督ながら、原作のエッセンスを見事に映像化した中西(左)。まきちゃんぐ(右)は、作品とリンクした楽曲を提供し、映画制作そのものにも寄与した |
また、今作のオープニングテーマとエンディングテーマを作詞・作曲したシンガーソングライターのまきちゃんぐも、二人に続き壇上に登場。「今年デビューしたばかりなのに、このような大役を与えて頂いて光栄です。微力ながら、この作品を盛りたてることが出来ればうれしいです」と、新人らしく挨拶は控えめだったが、それに対し阿部が、「最初にこの曲が映画で流れたとき、良い意味で違和感がないと思った。そしてもう一度見ると、この曲に映画が支えられていると感じた」と力強くコメント。中西も「映画作りのかなり早い段階から、曲は出来上がっていた。何度か聞いているうちに、この曲に導かれるように映画を作っていった部分がある」と、曲の果たした役割の大きさに言及した。
(c)2008「青い鳥」製作委員会
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