半導体ベンダの英Wolfson Microelectronicsは10月20日、2007年1月に買収した英Oligonの技術を適用したシリコンマイク製品としてTrue Micsファミリ4製品を発表した。また、この発表を皮切りに、今後12カ月で順次新製品を投入していくという。

True Micsファミリ第1弾のWM7120(左)とWM7110(右)

Oligonは、独自のCMOS-MEMSプロセスを開発しており、薄膜技術を応用したトランスデューサ設計を行っていた。同技術は、既存のCMOSプロセスのみでMEMSベースのデバイスの製造が可能で、一般的なCMOSプロセスで用いられる材料のみで製造することができる。

WolfsonのMEMSマイクトランスデューサは主に

  1. 有孔の固定層
  2. 柔軟層
  3. 背面の空洞

の3つの部分で構成される。

原理を簡単に説明すると、音が発生すると音圧は、上層の固定層を超え柔軟層に到達、柔軟層が曲がることで、背面の空洞が形成しているキャパシタンスが変化、この変化を測定し、電気信号に変換する、ということとなるようだ。

MEMSマイクトランスデューサの仕組み(左が断面のCG、右が簡易図)

MEMSマイクトランスデューサーの断面図(右は参考用の人間の髪の毛の厚さ)

Wolfson Microelectronics イメージング&True Mics製品ライン担当マネージャー Nigel Burgess氏

同社のシリコンマイクは、MEMSを用いた同トランスデューサ、トランスデューサへ電力を供給し、出力信号を増幅するASICをSiPで組み合わせた独自のパッケージで構成される。

第1弾は「WM7110」「同7110E」「同7120」「同7120E」の4製品。7110系統が4.72mm×3.76mm×1.25mmの標準パッケージ品で、7120系統が3.76mm×2.95mm×1.10mmの小型パッケージ品となっており、「タイプEは感度公差を±1dBを実現している(通常の7110/7120の感度公差は±3dB程度)」(Wolfson Microelectronics イメージング&True Mics製品ライン担当マネージャー Nigel Burgess氏)と、なっている。

その他の性能としては、いずれの製品ともに温度が-40℃~+85℃の範囲に対応、アナログS/N比が62dB(Typical)、動作電流160μA(Typical)、感度-42dBV/Pa@1kHzとなっているほか、100dBのSPLで最大0.5%のTHD(全高調波ひずみ)を実現している。

低ひずみ、低ノイズ、フラットなレスポンスなどを実現することにより、クリアで高品質なオーディオを実現する

なお、4製品のサンプル出荷は、7110/7110Eが2008年11月、7120/7120Eが同12月より開始される予定である。