DMCA(デジタルミレニアム著作権法)の適用をめぐるジョン・マケイン陣営とYouTubeの論争が話題になっている。

マケイン陣営はYouTubeに公式チャンネルを設けて選挙キャンペーンビデオを公開しているが、その内の何本かについてYouTubeがDMCAプロセスに従って著作権侵害を警告した。指摘されたビデオの1本では同陣営の主張に説得力を加えるために、ニュース番組でアンカーが報道する様子が短時間はさみ込まれていた。これに対してテレビ局側がYouTubeに著作権違反をレポートしたと思われるが、同陣営はビデオでのクリップの利用はフェアユースの範囲と主張している。

この論争が注目されているのは、著作権保護の立場に傾くことが多い政治家、しかもホワイトハウスを目指すマケイン氏が、ミックスメディアのユーザーとしてフェアユースを訴えているためだ。これがフェアユース問題でユーザーを守るソリューションへとつながる可能性が期待されている。ただしマケイン陣営がYouTubeに提案したソリューションは、政治家候補や選挙キャンペーンに限り、より詳細にビデオの内容をレビューするというもの。これには、問題の根本的な解決にほど遠いという失望の声もある。

マケイン陣営の訴えに対しYouTubeは、全てのユーザーに同社の規定に従って平等に対応する考えを伝えた。フェアユースの範囲の定義は様々であり、誰も確かな線引きを行えないのが現状だ。著作権保有者とユーザーが合意しているケースもあるが、多くは両者の間に様々なズレがある。YouTubeはコンテンツがフェアユースの範囲内であるかを判断する立場にはなく、著作権侵害の通知を受けた場合は違反を警告し、削除する対応を取らなければ自らの"セーフハーバー"を危うくすることになると説明。また内容やカテゴリーなどで一部のコンテンツを特別視せず、全てを平等に扱うのがYouTubeのポリシーであるとした。

しかしながら、自由な表現を脅かす可能性ではマケイン陣営の主張に同意しており、「その点においては、DMCAプロセスを濫用する個人や組織が存在するのが本当の問題である」と指摘。大統領選の結果にかかわらず、今後フェアユースを守るための活動で協力する用意があるとしている。