シマンテックは7日、仮想化環境にも対応した中堅・中小企業向けのデータ保護ソリューション「Backup Exec」製品群を、順次提供開始すると発表。同製品群に関する記者発表を開催した。

簡単かつ柔軟なバックアップを実現

ソリューション&プロダクトマーケティング部 リージョナルプロダクトマーケティングマネージャーの清水真理氏

今回発表されたのは「Backup Exec 12.5 for Windows Servers(以下、Backup Exec 12.5)」および「Backup Exec System Recovery 8.5」の2製品で、Windows Server 2008の全製品シリーズに対応した保護ソリューションとなる。ソリューション&プロダクトマーケティング部 リージョナルプロダクトマーケティングマネージャーの清水真理氏は「仮想化環境が拡大していく中で、IT管理者のバックアップ作業が複雑化している現状があります」とし、Backup Exec製品群がこの課題解決に大きな役割を果たすことを強調した。

Backup Exec 12.5には仮想化環境向けに「VMware Virtual Infrastructure エージェント」および「Microsoft Virtual Servers エージェント」という2種類のエージェントが用意されている。いずれも単一のコンソールから簡単に設定や操作を行えるのがポイントで、VMware環境では「VMware Consolidated Backup(VCB)」設定の自動化により、スクリプト作成の手間も不要だ。

シングルエージェント、シングルバックアップ、シングルコンソールを特徴としたBackup Exec 12.5

また、ホストごとのライセンスとなっているため、低コストで無数の仮想マシンをサポートできるほか、WindowsだけでなくLinuxの仮想マシンにも対応。さらに、米シマンテックで特許出願中の「Granular Recovery Technology(GRT)」が追加されたのも大きな特徴といえる。

GRTとは、従来Exchange ServerやActive Directory、SharePoint Serverなどのアプリケーションに用いられていたもので、データベースをネイティブフォーマットのままバックアップし、最小単位でのリストアを可能にする技術だ。GRTの導入によりイメージレベルのバックアップから、仮想マシン全体またはファイルやフォルダ単位といった柔軟かつきめ細かなリカバリを実現している。

Granular Recovery Technologyで実現した柔軟かつきめ細かなリストア

そのほか、マイクロソフトの最新プラットフォームとアプリケーションをサポートしているのも大きなメリットといえる。「Windows Essential Business Server」では、管理コンソールとの統合によりステータス確認などが可能、「Microsoft SQL Server 2008」ではポイントインタイムリカバリ、ファイルストリームおよびSQLデータベース圧縮をサポート、「Microsoft Office SharePoint Server 2007」では、SharePiontのドキュメントに加えてサイトおよびリストアイテムの細かいリカバリが可能となった。

「Microsoft Office SharePoint Server 2007」では、ドキュメントに加えてリストアイテムやサイトの細かいリカバリが可能

柔軟なバックアップを実現する手段として、Backup Exec 12.5では新たなエージェント「Linux Servers リモートメディアエージェント」を採用。Backup Exec環境でLinuxサーバのテープおよびディスクストレージを最適化できたり、LinuxとOracleのデータについて共有ストレージを含むアタッチ型ストレージリソースに直接バックアップすることが可能だ。

Backup Exec 12.5の「Linux Servers リモートメディアエージェント」で柔軟なバックアップを実現

NDMP NASデバイスのバックアップに対する柔軟性も強化されており、BEメディアサーバとリモートのNDMP対応NASデバイス間で、テープおよびディスクストレージを共有。バックアップリソースを最大限に活かしつつ、柔軟性の強化としてリモートのNDMPデバイスのデータをメディアサーバに接続されたテープやディスク装置へバックアップすることもできる。

NDMP NASデバイスのバックアップに対する柔軟性も強化

さらに、新しいオプションとして「Backup Exec Infrastructure Manager」も採用された。これはAltirisの技術をBackup Execに統合したもので、1つのコンソールからライセンスの検出、インベントリ管理、パッチやアップデート配布の自動化が可能。既存のBackup Execコンポーネントと環境がUIを介して表示できるなど、簡単なライセンス管理による経費削減効果が期待できる。

小規模環境向けの新製品も登場

Backup Exec System Recovery 8.5では、仮想化環境への迅速なシステムリカバリを実現した。新たに物理システムから仮想システムへのP2V変換スケジュール機能を採用しており、迅速なリカバリでシステムのダウンタイムを大幅に短縮することができる。変換したファイルはESXまたはHyper-Vサーバに直接リストアが可能で、ローカルまたはサイト間でのウォーム・フェールオーバーも行える。

仮想化環境への迅速なリカバリを実現するBackup Exec System Recovery 8.5

また、使いやすい仮想変換ウィザードにより管理時間やセットアップの工数が軽減できるほか、VMware ESX 3.5、Microsoft Hyper-V、Citrix XenServer 4.xといった最新の仮想化環境をサポートしているのも特徴だ。さらに、新搭載された「コールドイメージング」機能では、システムがオフライン状態でも起動せずにバックアップが可能。Backup Exec System Recoveryのインストールも不要のため、ブート不能のシステムや非Windowsシステムでもバックアップすることができる。

システムがオフライン状態でも起動せずにバックアップが可能な「コールドイメージング」機能

また、今回は日本市場に特化した小規模環境向けの新製品として「Backup Exec System Recovery 8.5 Basic Edition」も発表されている。こちらはBackup Exec System Recovery 8.5 Server Editionの基本機能を搭載しながらも、9万9,000円という低コストで効率的なWindowsサーバ全体の保護を実現できる製品だ。Server Editionとの機能差としては増分バックアップ、ファイルやフォルダ単位のバックアップ、CD±R/RWやDVD±R/RWのサポート、集中管理機能などが省かれている。

日本国内における提供開始日については、Backup Exec 12.5およびBackup Exec System Recovery 8.5(Basic Edition を除く)が7日より、Backup Exec System Recovery 8.5 Basic Editionが11月、Backup Exec Infrastructure Managerが2009年上半期を予定。

Backup Exec 12.5の価格は、Backup Exec for Windows Serversが15万4,200円、Microsoft Exchange/SQL/SharePoint/Oracle/Lotus Dominoエージェントが15万4,200円、IBM DB2エージェントが15万4,200円、Microsoft Active Directryエージェントが15万4,200円、Oracle RACエージェントが49万5200円、Enterprise Vaultエージェントが24万7200円、Windowsシステムエージェントが9万2,200円、UNIX/Linux Serversリモートエージェント/Macリモートエージェントが6万1,200円、VMware Virtual Infrastructureエージェントが49万5200円、Microsoft Virtual Serversエージェントが38万6,700円、Linux Servers リモートメディアエージェントが12万3,200円。

Backup Exec System Recovery 8.5の価格は、BESR Basic Editionが9万9,000円、BESR Server Editionが15万6,000円、BESR Desktop Editionが1万300円、Granular Restore Optionが14万1,800円、BESR Managerが21万3,000円となっている。