日本レコード協会(RIAJ)など著作権権利者7団体は1日、公平・公正な利用の場合は著作権を制限するとする「日本版フェアユース規定」を議論している内閣官房知的財産戦略本部に対し、議論に権利者の意見を反映させるべきだとする要望書を提出した。

要望書を提出したのは、RIAJ、日本音楽著作権協会(JASRAC)、日本芸能実演家団体協議会、日本音楽事業者協会、音楽出版社協会、音楽制作者連盟、日本音楽作家団体協議会の7団体。

知的財産戦略本部では今年3月、「デジタル・ネット時代における知財制度専門調査会」を設置。弁護士で西村あさひ法律事務所顧問の中山信弘氏を会長とし、4月~9月まで7回にわたりネット時代における著作権制度のあり方について議論。その主要なテーマとして「フェアユース規定」を取り上げてきた。

フェアユース規定とは、アメリカ合衆国著作権法などが認める、著作権侵害の主張に対する抗弁事由の一つ。著作権者に無断で著作物を利用していても、その利用がフェアユース(fair use) に該当するものであれば、その利用行為は著作権の侵害を構成しないとされる。

同調査会では、日本に適した形で同規定を導入することについて、7月29日に行われた第6回会合で「導入の必要性や導入に当たっての課題について大方合意」(中山氏)。

だが、今回知的財産本部に提出された要望書では、「法制化により大きな影響を受ける権利者を代表する立場の者が構成員として参加していないばかりか、権利者あるいはその関係者に対する意見の聴取すら行われていない」と、同調査会の議論における権利者不在を強調。

さらに、「『創造』『保護』『活用』は知財計画の重要な柱と認識しているが、権利者が不在のまま『活用』ばかりに話が及ぶとすれば、はなはだ公平さに欠けた運営と言わざるを得ない」と結論付けた。

その上で、「権利者が参加した上で、その意見を十分反映できるよう改めて議論されることを強く要望する」としている。

同調査会は10月中旬に第8回会合を開く予定で、今回の要望書を受けた対応が注目される。