NECエレクトロニクスは、車載用ソフトウェアの開発企業である仏Geensysと、車載用ソフトウェアの標準化団体「AUTOSAR」が定めた仕様に準拠するソフトウェアプラットフォームを共同で開発したことを発表した。

今回の協業は、NECエレクトロニクスが、多数の欧州車載関連メーカー向けにAUTOSARをはじめ多くの車載用ソフトウェアや開発ツールを提供してきたGeensysのソフトウェア開発力を、またGeensysは車載マイコンを製品化するNECエレクトロニクスのハードウェア技術力を互いに評価したことによるもの。

同共同開発により、NECエレクトロニクスは、自社の32ビットマイコン「V850」を駆動させるソフトウェア「MCAL(Micro Controller Abstraction Layer:マイコン抽象化層)」を、またGeensysは、CAN、LIN、FlexRay対応の通信管理用ミドルウェア、RTE(Run Time Environment:ランタイム環境)、などから構成される自社の基本ソフトウェアモジュール、およびAUTOSARが定めたOSを開発した。これにより、車載制御ユニットメーカーや自動車メーカーは、同プラットフォームを用いることで、他の半導体製品向けに開発されたAUTOSAR準拠のアプリケーションソフトウェアをV850上で稼動させることが可能となる。

具体的には、NECエレクトロニクスでは32ビットのボディ向けマイコンであるFシリーズ29品種およびシャシー向け1品種に対応するデバイスドライバを開発した。開発に際しては、業界標準のソフトウェア開発プロセス「CMMI(Capability Maturity Model Integration:能力成熟度モデル統合)」および「Automotive SPICE」を全面的に適用し、高品質を実現したという。

またGeensysは、これまで培ってきたAUTOSAR準拠ソフトウェア開発ツール「AutosarBuilder」や各種基本ソフトウェアモジュールの開発経験に基づき、高度な知識と経験が必要とされるCAN、LIN、FlexRay通信管理用ミドルウェアを協業のもと、短期間で開発を完了した。

なお、両者はAUTOSAR準拠のデバイスドライバや基本ソフトウェアが標準的なソフトウェアプラットフォームとして採用された自動車が市場に登場するのは2010年頃と見込んでおり、今回共同開発したハードウェアならびにソフトウェア技術を、NECエレクトロニクスのマイコンに最適化されたソリューションとして提供していくとしており、今後は他のNECエレクトロニクス製車載マイコンに向けても同様に共同開発を推し進めていくとしている。