松下電器産業は、マイクロフォーサーズを採用した初のデジタル一眼カメラ「LUMIX DMC-G1」を10月31日から発売する。価格はオープンプライスで、推定市場価格はボディのみが8万円前後、マイクロフォーサーズ専用の標準ズームレンズ「LUMIX G VARIO 14-45mm/F3.5-5.6 ASPH./MEGA O.I.S.」が付属したレンズキットが9万円前後、さらに望遠ズーム「LUMIX G VARIO45-200mm/F4.0-F5.6/MEGA O.I.S.」も付属したダブルズームレンズキットが12万5,000円前後。

DMC-G1 コンフォートレッド

なお、「LUMIX G VARIO 14-45mm/F3.5-5.6 ASPH./MEGA OIS.」の単品発売は予定されていない。「LUMIX G VARIO45-200mm/F4.0-F5.6/MEGA OIS.」の価格は4万9,350円。ボディカラーはレンズキットとダブルズームレンズキットはコンフォートブラック、コンフォートレッド、コンフォートブルーの3色が用意される。ボディ単品はコンフォートブラックのみ。

「LUMIX DMC-G1」は、フォーサーズ規格のフランジバックを短くし、ミラーレスとしたマイクロフォーサーズ規格を採用した初めてのデジタルカメラ。ミラーをなくしたことで、同社では「デジタル一眼カメラ」と呼んでいる。オートフォーカス方式は、一眼レフ特有の位相差変化検出方式は省かれ、コンパクトデジタルカメラと同じコントラスト検出方式のみとなった。ただし、AF速度は同社のDMC-L10と比較して約3倍の高速化を実現したという。

DMC-G1 コンフォートブルー/コンフォートブラック

背面液晶は3型46万画素、左右180度、上下270度に可動しハイ・ローアングルでの撮影が可能。144万画素相当のライブビューファインダー(LVF)も備え、アイセンサーで背面液晶と自動的に切り替える機能を持つ。なお、従来機で設定されていたライブビュー時の時間制限はなくなった。

AFポイントは最大23点の多点AFのほか、1点AF、顔認識、追尾AFも利用できる。1点AF時にはAF枠の変更がダイヤルで行えるほか、「ダイレクト1点AF移動」機能がONの時は上下左右ボタンで移動できる。また、プリAF機能としてシャッターボタンを半押しする前にAFを開始する機能を搭載、MF時にはピントを合わせたい部分を約5/10倍に拡大表示する機能も備える。

本体正面。レンズ上部に出っ張りのあるオーソドックスなデザイン

本体背面。可動式の液晶モニターに加えLVFも備える

撮像素子は有効1210万画素のLive MOSセンサー。新開発の「スーパーソニックウェーブフィルター」を搭載し、秒5万回の超音波振動で撮像面に付着したゴミやホコリを除去する機能を備える。画像処理エンジンは「ヴィーナスエンジンHD」を搭載し、色ノイズや輝度ノイズを別々に検知し、画質上問題になる色ノイズを選択的に減少させることで、デジタル一眼カメラにふさわしい描写力を実現したという。カラーモードは、カラーフィルムモード6種類(スタンダード、ダイナミック、ネイチャー、スムーズ、ノスタルジック、バイブラント)と白黒フィルムモード3種類(スタンダード)の計9種類を備えるほか、それらのモードのコントラストやシャープネスなどをカスタマイズして記録できるマイフィルムモードを2つ備える。また、色調補正機能マイカラーモードも搭載し、光の色、明るさ、鮮やかさを±5段階で調整できる。絞り効果とシャッタースピード効果を確認できるプレビューボタンも供える。

カメラが自動でシーンを判別する「おまかせiA」機能とレンズ交換式デジタルカメラとしては初めて搭載した。また、上面には撮影モードダイヤルを備え、人物、夜景&人物、風景、スポーツ、クローズアップモードの5つのアドバンスシーンモードを備える。また、モードダイヤのSCNを選択すると、「赤ちゃん1・2」「パーティー」「ペット」「夕焼け」を設定できるほか、「赤ちゃん」と「ペット」では、誕生日設定が可能で「月例/年齢」表示できる。なお、動画撮影機能には対応しない。

連写性能は高速で約3コマ/秒、低速で2コマ/秒。ガイドナンバー11の内蔵ストロボも備える。接続端子にはミニHDMI端子を備え、ビエラのリモコンで操作できるビエラリンクにも対応する。記録メディアはSDHC/SDメモリーカード/マルチメディアカード。本体サイズは124(W)×83.6(H)×45.2(D)mm、質量は約385g(本体)。

本体上面。シーンモードを含む撮影モードダイヤルを備える

DMC-G1マウント部。フォーサーズレンズの装着には未発売のマウントアダプタが必要

同時に発表されたマイクロフォーサーズ専用レンズ「LUMIX G VARIO 14-45mm/F3.5-5.6 ASPH./MEGA O.I.S.」は、35mm判換算28-90mm相当の標準ズームレンズ。光学式手ブレ補正機能を搭載し、口径60mm、全長約60mmの小型レンズ。常時手ブレ補正機能を動作させるMODE1と、露光時のみ手ブレ補正を行うMODE2、流し撮り用のMODE3を備える。35mm判換算で28から90mmをカバーする。絞り羽根は7枚で、円形光彩絞りを採用する。最短撮影距離は全域で30cm。レンズ構成は13群16枚で、フィルター径は52mm。重さは約195g。なお、レンズ単体での発売についてはユーザーからの要望を聞いて検討するとしている。

「LUMIX G VARIO 45-200mm / F4.0-F5.6 / MEGA O.I.S.」は、ダブルズームレンズキットに含まれるほか、単品発売も予定される35mm判換算90-400mm相当の望遠レンズ。14-45mm同様光学式手ブレ補正機能と、手ブレ補正モードMODE1〜3を備える。絞り羽根は7枚で、円形光彩絞りを採用する。最短撮影距離は1m。フィルター径は52mm。本体サイズ口径70mm×全長約100mm。質量は約380g。

なお、DMC-G1で従来のフォーサーズレンズを使用するにはフランジバックを伸ばすためのアダプタが必要となるが、同社の従来レンズを使用可能にするアダプタ等の発売は予定されていない。

同社のL1とG1の光学系比較図。マイクロフォーサーズのG1では、ミラーが省かれ、フランジバックも短くなっているのがわかる