インストール時に表示されるEULA

米Googleは9月4日(現地時間)、2日に公開された同社製Webブラウザ「Google Chrome」の利用規約を変更したことを発表した。変更された項目には当初、Chromeを通して表示または投稿されるすべてのデータの排他的使用権をGoogleに付与する文章が記されていた。今回の修正では、ユーザーのコンテンツに対する権利がそのまま保証されることを明記しつつ、Google側のライセンス使用権に関するすべての項目が一律削除された。これまで反発の声を上げていたユーザーの意見に応えた形だ。

問題となっていたのは、同ブラウザをインストールする際に提示されるEULA(End-User License Agreement)のライセンス条件第11項で、コンテンツの権利の所在を示すもの。ここにはChromeの公開当初、下記のような文章が記されていた。

11.1 本サービスで、または本サービスを通じてユーザーが提出、投稿、または表示するコンテンツについてユーザーが既に取得されている著作権およびその他の権利は、ユーザーが保持するものとします。コンテンツを送信、投稿、表示することにより、ユーザーは、本サービスで、または本サービスを通じて送信、投稿、または表示したコンテンツを再生、改作、改変、翻訳、公表、公開、配信できる恒久的かつ取り消し不能で、使用料が発生しない非排他的なライセンスをGoogle に付与することになります。このライセンスは、本サービスの表示、配信、および促進を Googleが行えるようにすることのみを目的とするものであり、一部のサービスについては、そのサービスの追加規約で定義されているとおり、取り消される場合があります。

また上記11.1に続く形で、Googleに対してコンテンツの排他的利用権の付与を許諾する旨の項目が11.2 - 11.4まで並んでいた。だが前述のように、EULAの内容に気付いたユーザーやメディアなどから大きな反発が起こっていた。

この項目を挿入した意図についてGoogleでは、著作権法の下では、Googleがコンテンツを表示または転送するにあたって"ライセンス"と呼ばれるものが必要になると説明する。ゆえにBlogなどのコンテンツの取り扱いにあたり、Googleはユーザーに対してライセンス許諾を得なければならないという。これはGoogle Chrome以外のサービスでも同様で、このライセンスの有無が結果としてサービスの範囲を限定するものになるという。例えばGmailなどでは、Gmail上のコンテンツについてGoogle側の所有権を放棄することを明記している。以上がGoogle側の釈明だ。

新たに提示されたEULAの第11項では、11.2 - 11.4までの文章をすべて削除、11.1についても「本サービスで、または本サービスを通じてユーザーが提出、投稿、または表示するコンテンツについてユーザーが既に取得されている著作権およびその他の権利は、ユーザーが保持するものとします」の部分のみを残して以下を削除している。Googleへの排他的ライセンス付与の内容が一律削除された形だ。なお、原稿執筆時点(日本時間の5日9時)では英語版EULAは変更されているものの、日本語版EULAの内容は旧バージョンのままとなっている。