SunSpiderを利用したV8とTraceMonkeyの性能比較(画像は「Brendan Eich's Roadmap Updates」から転載)

Mozillaの主要開発メンバーが、Googleが主張するJavaScriptエンジン「V8」の高速性について、一部反論を展開している。V8の高速性を認めつつも、各種テストを踏まえた総合成績ではMozillaの「TraceMonkey」がV8を上回る、という論旨だ。

Googleは、Safariなどで実績を持つレンダリングエンジン「WebKit」をベースに開発した、新しいWebブラウザ「Chrome」の提供をスタート。JavaScriptエンジンには独自開発の「V8」を搭載、あわせて公開された「V8 Benchmark Suite」を利用するテストでは、他のWebブラウザを圧倒するスコアを記録している。

Mozilla側の主張は、JavaScriptの発明で知られる現Mozilla最高技術責任者 (CTO) Brendan Eich氏のブログに掲載された。9月3日付けの投稿では、WebKit開発チームが提供するJavaScriptベンチマークスイート「SunSpider」を使い、Mozillaが開発中のJavaScriptエンジン「TraceMonkey」とV8とを比較した結果、Mac mini上で動作するWindows XPでは1.28倍、MacBook Pro上で動作するWindows Vistaでは1.19倍上回ったという。

公開されたSunSpiderの実行結果によれば、14種あるテストのうち、TraceMonkeyがV8を上回ったのは8項目。ただし、反復処理が多い「controlflow-recursive」テストでは10倍もの差が生じるなど、V8がTraceMonkeyを大きく上回る項目もある。Eich氏は、性能差の原因調査を次なる課題としたい、と述べている。

SunSpiderの詳細なテスト結果(画像は「Brendan Eich's Roadmap Updates」から転載)