動画投稿サイト「ニコニコ動画(夏)」を運営するニワンゴはこのほど、著作権者が作品の権利の一部を開放し、他のユーザーが二次利用する際の条件を設定・登録できるサイト「ニコニ・コモンズ」の提供を開始した。同サイトに登録された作品は、他のユーザーにより、著作権者が設定した条件に応じた二次利用が可能となる。

「ニコニ・コモンズ」トップ画面(イメージ)

「ニコニ・コモンズ」を利用するには、ニコニコ動画(夏)のアカウントが必要。同サイトに作品を登録する著作権者は、登録の際、作品の利用許諾に関する条件を設定。同条件には、「固定条件」と選択可能な「任意条件」がある。

固定条件は「作品の改変を許可する」とするもので、全てのクリエイターによる設定が必須。

任意条件には、「利用目的」と「掲載箇所」の2つの項目がある。利用目的の条件設定では、「非営利目的利用に限定」「営利目的も許諾」「営利目的利用には別途許諾が必要」のどれかを選択。掲載箇所の条件設定では、「インターネット全体に許可」「ニコニ・コモンズ対応ウェブサイトに限定する」から選択する。

著作権者は、登録した作品の利用条件を一定のルールの下で変更可能。また、権利者が「ニコニ・コモンズ」の下で有償ライセンスによるビジネスを行うことについては、原則として制限しない。

著作者が作品を登録すると、「ニコニ・コモンズID」と呼ばれる管理番号が割り振られる。作品を二次利用するユーザーは、登録作品を利用して新たに創作した作品(派生作品)を「SMILEVIDEO」などの「ニコニ・コモンズ」対応サイトにアップロードして発表することが可能。その際、作品利用者が同IDを付記することで、著作物の利用状況が明確化される仕組みとなっている。

この仕組みにより、作品の登録日や利用条件の変更履歴、利用者による作品のダウンロード数、ダウンロードした利用者の情報、などを管理することができる。

登録可能な作品は、音声、動画、画像で、「順次種類を増やしていく予定」(ニワンゴ)。なお、公序良俗に反すると認められる作品は、ニコニ・コモンズ事務局の判断により削除。さらに、権利侵害とみなされる作品は、権利者からの申し立てなどに基づき削除する。

また、APIを提供することで、「SMILEVIDEO」にとどまらず外部サイトに展開することが可能。外部対応サイトの第一弾は、クルークの運営するイラスト特化型SNS「pixiv」を予定。「SMILEVIDEOとpixivの間では、サービスをまたがった作品の利用が可能になる」(同社)としている。