日本ビジネスオブジェクツ マーケティング部 ディレクター 山本哲也氏

日本ビジネスオブジェクツ(日本BO)は、中堅企業向けBIスイート製品の最新版「BusinessObjects Edge 3.0」と、レポーティングツールプラットフォームの最新版「Crystal Reports Server 2008」を発表、出荷を開始した。一部製品の価格を下げ、導入へのハードルを低くし、中堅企業、大手企業の部門からの需要拡大を図るとともに、同社が傘下入りしたSAP経由の販売経路をも活用していく方針だ。

「BusinessObjects Edgeシリーズ」は、中堅市場向けBIスイートとして、大企業向けの「BisunessObject XI」とほぼ同じ水準の内容であり、中堅企業向けに必要な機能を組み合わせており「製品認知度の向上や、パートナーの協力もあり、2008年に入ってから、出荷が伸び、50社以上に販売している」(同社 マーケティング部 ディレクター 山本哲也氏)状況だ。「BusinessObjects Edge 3.0」は同シリーズをさらに強化しており、企業の業容に準じて、上位版への移行も可能だ。同社は主として、売上高100億円前後、従業員数300人以上の企業に照準を合わせている。

日本ビジネスオブジェクツ プロダクトマーケティング部 マネージャー 久保良太氏

今回発表する「BusinessObjectsEdge 3.0」は、非定型レポーティング、クエリー、分析、ダッシュボード、データ品質、データ統合などの機能があり「中堅企業の求めている用件に即して開発」(同社 プロダクトマーケティング部マネージャー 久保良太氏)しており、分析機能、ダッシュボードを重点化するとともに、データ統合/品質管理、さらに、予算管理、予測と言った領域に焦点を当てている。

分析の点では、操作性の容易化に努め、単一のインタフェースを通じ、多様なデータ源からのデータを集約/分析できる。ダッシュボードは企業経営の全体像を多角的に概観でき、経営層からの需要に応えた「見える化」を実現する。また、業績推移などの傾向を理解しやすくするよう、数値の変化を、増加の場合は緑、減少は赤というように表示色を変えるなど、可視化に腐心している。

中堅以下の企業では、システム、データの統合性が十分でなく、分析の障壁となっている例がみられることから、各種データベース、ファイルなどから、分析のためのデータ抽出、変換、書き込みなどを担うETL(Extract Transform Load)ツールを新たに備えた。アプリケーションパッケージからのデータ抽出用テンプレートも用意している。また、登録している顧客名の不統一、重複といった問題への策として、データ補正、補正すべき情報の検地を包括的に実行するデータ品質ソリューションも追加した。

また、データ統合パッケージの「Rapid Marts」も追加される。 「Rapid Mart」は、一定の領域の情報を、データ統合のベストプラクティスと組み合わせて、構築済みのデータモデル、変換ロジック、データ抽出などを、SAPソリューションとの間で仲介、SAP製品のデータ抽出、加工、分析が短期間で可能になるという。SAP製品との接続性、統合性は、「Crystal Reports Server 2008」も備えており、今後、SAPユーザーへの浸透をさらに進めていく意向だ。

「Crystal Reports Server 2008」は、煩雑な、レポート管理、セキュリティ設定を簡素化、Webベースの管理ツール「セントラル管理コンソール」により、各種レポートから、サーバー、データベースのリポジトリへのアクセスなど、システム全体にわたった管理が可能だ。セキュリティの面では、フォルダ、オブジェクト単位での設定、ユーザーあるいはグループレベルでの、セキュリティ継承ができる。

また、容易な設定により、レポートの公開と、特定の時間に、あるいは特定の形式で配信できるようになっている。さらに、Microsoft Office 2000/2003/XP/2007を含む、主要な最近のバージョンをサポート、PowerPoint、Excel、Wordのドキュメントに、更新可能なデータを埋め込むこともできる。

「BusinessObjects Edge 3.0」「Crystal Reports Server 2008」は双方とも、12カ国語対応で、価格は「BusinessObjects Edge 3.0」が280万円(同時アクセス可能5ユーザーのライセンスで)から(税別)。「BusinessObjectsEdge 3.0」は、Standard、Professional、Planning(今後提供予定)の3つの版が用意される。

「Crystal Reports Server 2008」は42万7,000円(税別)からで、従来は105万円(同時アクセス可能5ユーザーのライセンスで)からの製品だけで、大幅に値下げした。「BusinessObjects Edge」は必要なソフト/ハード、導入コンサルティング、トレーニングなど、システム導入に必要な要素のすべてをセットにしたスモールスタートパッケージをパートナー経由で提供する。SAP連携などのデータ移行ソリューションを含むパッケージも用意している。同社では、「BusinessObjects Edge 3.0」「Crystal Reports Server 2008」をあわせて、今後1年で250社への販売を目標としている。

経営ダッシュボードは、企業の「体調」を把握できる.