NECエレクトロニクスは18日、デジタルテレビやDVDレコーダーなどデジタルAV機器を1本のケーブルで接続した際の相互制御を可能にする、CEC(Consumer Electronics Control)回路を内蔵した16ビットのフラッシュメモリ内蔵マイコン(オールフラッシュ・マイコン)4品種を発表した。9月から順次サンプル出荷を開始する。同社がデジタルAV機器向けマイコンを市場に投入するのは、今回が初めてとのこと。

新製品は、外部接続端子数が80本の「78K0R/KF3-C」2品種および100本の「78K0R/KG3-C」2品種の計4品種。これらにより組込機器メーカーは制御用ソフトウェアを開発せずに、機器を接続するインタフェースであるHDMI(High-Definition Multimedia Interface)準拠のCEC機能を実現できるという。また、システム全体において最も消費電力が低い状態における消費電流を約0.5mAから約0.5μAと1/1000への低減、CEC回路に加えリモコン受信回路を搭載しリモコンおよびCECの制御信号を同時に受信できシステムの操作性を向上できるといった特長を持つ。

デジタルAV機器用途向けマイコン78K0R/KG3-C(左)および78K0R/KF3-C(右)

新製品のサンプル価格はメモリ容量やパッケージの種類、端子数などにより異なるが、128KBのフラッシュメモリおよび8KBのRAMを100ピンのQFP(Quad Flat Package)パッケージに搭載した「78K0R/KG3-C」の場合で600円/個。いずれも2009年3月から順次量産を開始し、2009年度下半期には4品種合計で月産100万個の生産を計画している。

既存のデジタルAV機器では、汎用マイコンに各メーカーが独自開発したソフトウェアを搭載してHDMI接続による相互制御を実現していた。しかし、CEC機能によりシステムの状態を監視する際にマイコンのCPUを常時駆動させる必要があるため、機器の電源を落とした状態でも機器としての消費電力が増大してしまう問題があったという。 新製品はこのような問題を解決するために開発したもので、CEC機能をハードウェア化することにより監視時のCPU駆動が不要になるため、機器の消費電力を大幅に低減できるとしている。