「iPhoneは人生観をも変える」 - ソフトバンク孫社長が熱弁

売れ行きは想定以上、満足のいくスタートダッシュ

ソフトバンクの孫正義社長

「iPhone 3Gを使う前と使った後では人生観が変わる」。ソフトバンクの孫正義社長は、同社の2008年度第1四半期(2008年4-6月期)の連結決算の発表会見の席上、このように述べた。孫社長は先週中国に出かけた際、1度もノートパソコンを使わなかったという。「海外出張するときに、ホテルの部屋で最初にすることは、ノートパソコンのインターネット接続だが、場合によっては、30分から1時間かかることもある。しかし、iPhone 3Gで仕事のためのメールチェックができ、ExcelやPowerPointなどの添付ファイルも、その場で開いて、指操作で拡大して閲覧できる。移動時間などを有効に使うことができ、自分の時間を効率的に使うことが可能になる」からだ。

テレビが発売カウントダウンを中継するなど、すさまじいブームを巻き起こしているiPhone 3G。発売から3週間ほどが経過したが、「iPhone 3Gの売れ行きは想定以上であり、多くの反響があった。満足のいくスタートダッシュだ」(孫社長)。同社はさらにiPhone 3Gの販売を伸ばすため、パケット通信料定額サービスの料金を従来の5,985円から2段階制に改め、月1,695円からとした。「iPhone 3Gはいわゆるヘビーユーザーだけでなく、子供から高齢者まで、幅広い層が購入を検討している。しかし、現行の料金体系では"ちょっと高い"という理由で、躊躇している。当初は、ヘビーユーザー向けを中心に拡大していこうと考えていた。彼らは定額の上限に集中するとみて、あえて下限は設けなかったのだが、”ちょっとだけ楽しみたい”という方々も大勢いることがわかった。従来の(最低月額使用料)7,280円はエントリー層には、高すぎるということで、下限の価格を設けた。(値下げしたのは)ネガティブではなくポジティブな理由だ。もっと大量に販売していきたい」と孫社長は話す。

iPhone 3Gは、販売台数の増加に伴いネットワークへの負荷が増大し、対応しきれなくなるかもしれないとの観測があった。孫社長は「悩ましいところだった。だが、1ユーザーあたりの平均トラフィックは、想定内に収まり、ユーザーの数が増えても対応できるめどが立った」と述べ、懸念はないとの見通しを示した。さらに、ユーザーの自宅などに超小型の基地局を設置し、既存の通常基地局を補完するフェムトセルも「法制度と技術的体制が整い、比較的自由に設置できるようになった。年明けくらいには本格的に投入できる」(同)見込みだ。

また、ネットワークへの負荷分散には、今回の「値下げ」も貢献できるという。iPhone 3Gユーザーの使い方としては「音楽のダウンロードは、”Wi-Fi経由あるいはパソコンからiTunes Storeで”という場合が多い。”大容量のファイルはWi-Fiで”というのが一般的になっているようだ。iPhone 3Gのユーザーは、自宅に、ブロードバンドのインターネット接続環境がある例が多い。料金体系が上限だけのフラットであれば、Wi-Fiを使っても経済的なメリットは乏しかったが、下減ができたことで、ユーザーはネットワークコストを加減しながら利用できる。入り口のコストを低くしたことにより、ユーザーは増え、慣れたユーザーは、コストを意識した使い方になることに期待している」(同)からだ。Wi-Fiの利用が増えれば、その分、ネットワークへの負荷は縮小する。

一方、iPhone 3Gの法人向け施策では「システム・インテグレーター的にソフト体制を整える」(同)方針で、8月中にも法人向け販売を開始、端末の使い方に精通した要員を配置する。「新しいアプリケーションとのセットでの売り方」などを考えており、ソフトバンクモバイルだけでなく、ソフトバンクテレコムでも取り扱う。

iPhoneの真の強さは、進化し続けること

「これまでに、いろいろな携帯電話を使ってきたが、iPhoneを持って本当に良かった。おもしろく、かわいくてしょうがない。1日24時間では足りないくらいだ」。孫社長の1ユーザーとしてのiPhoneに対する印象は、最大級の賛辞となった。6月に開催された同社株主総会も、さながらiPhone 3Gの製品発表会見の様相を呈していたが、今回の決算発表会見も、iPhone 3G一色に染め上げられた。孫社長は自らiPhone 3Gのデモを行った。株価、為替相場のチェックも自在、計算が必要なら、iPhoneの画面上にそろばんが表示され、指で操作して本物のそろばんと同じように使える。

ただ、孫社長は「iPhoneに似たような筐体の端末や、タッチパネルでの操作形式などの端末はほかにもあるが、iPhoneの特徴として、決定的に異なるのは、本格的なOSが搭載され、陳腐化しないということだ。OSが更新される場合、ネットで同期をとれば、iPhone側も自動的にバージョンアップされる。同じ端末だが、別のiPhoneに進化する」と語り、これこそがiPhoneの真の強さだと強調する。

常々、孫社長が述べるように「iPhoneはインターネットマシン」だ。「iPhoneだけでなく、既存の端末もいっそうインターネットマシン化していくだろう。インターネットマシンの普及率は、音声マシンとしての携帯電話の普及率を追い抜くのに、あと1年以上はかかるだろうが、5年はかからない。イメージとしては、3年もすれば、ほとんどの端末はインターネットマシンになるのではないか。ワンセグもあっという間に標準装備された」。

iPhoneの登場により、日本の携帯電話は激変すると、孫社長は予測する。当然、通信事業者、端末メーカーも変わらざるを得ない。「携帯電話の業界は全体として、NTTドコモもKDDIも端末の割賦販売を導入して、2年契約などの条件があるので、端末が次々に移り変わって、半年、1年で買い換えるというようなことは著しく少なくなるだろう。端末の絶対量は確実に減少する。ソフトバンクは他社に先駆けて割賦販売に着手しているが、機種変更の頻度は減っており、NTTドコモ、KDDIも同じ道をたどることになろう。しかし、各社とも解約率が下がってきており、ユーザー数が減っているのではなく、機種変更が減っているので、経営効率は良くなっている。あまり多数の機種を出す必要がなくなってきた。端末メーカーは、構造的な転換を迫られることになる」(同)。

ソフトバンクの目指す道は、あくまで「No.1モバイルインターネットカンパニー」だ。孫社長は「ソフトバンクグループは、アプリケーションもコンテンツも豊富に保有している。これらはiPhoneそのものよりも魅力的だと考えている。iPhone以外の端末も数多くそろっている。日本独自のサービス、コンテンツも作りだしていく。それらもあわせ、ソフトバンクのインターネットに対する世界観を機軸に、トータルサービスを提供していきたい」としている。

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