EMCジャパン 代表取締役社長 諸星俊男氏

EMCジャパンは6日、第4世代のミッドレンジストレージシステム「EMC CLARiX CX4」シリーズ4モデルを発表、即日提供開始した。諸星俊男 同社社長をして「競合他社製品を圧倒する総合力を備えたミッドレンジのメインストレージシステム」と言わしめる今回の新製品は、フラッシュドライブや64ビットOS環境など多くの次世代アーキテクチャを採用しているほか、今話題の「グリーンIT」を十分に意識した機能を搭載しており、前世代モデル(CLARiX CX3)と比べて「最大2倍の拡張性とパフォーマンス」を実現するという。

EMC CLARiX CX4はEMCのミッドレンジレベル「CLARiX」ファミリの最新世代に位置づけられるストレージシステムで、「CLARiX CX4-120」「CLARiX CX4-240」「CLARiX CX4-480」「CLARiX CX4-960」の4モデルで構成される。最小構成モデルのCLARiX CX4-120のスペックは、最大搭載ディスクドライブ数120台(120TB)、システムメモリ最大6GB、インタフェースに最大12個のファイバチャネルポートおよび8個のiSCSIポートをもつ。価格は378万円から。

同社によれば、CLARiX CX4の導入により、以下の4つの効果を得ることができるという。

  1. ITシステムに対するコスト削減
  2. ITシステムのグリーン化
  3. 仮想サーバ環境への最適化
  4. 可用性とデータ保護の最大化

EMCジャパン マーケティング本部 プロダクト・マーケティング部 プロダクト・マーケティング・マネージャ 雨堤政昭氏

この効果を実現する大きな推進力となるのが、同製品に搭載されたいくつかの新機能だ。同社はCLARiX CX4のリリースにおいて「競合他社では実現し得ない革新的ないくつかの機能をミッドレンジレベルにおいて実現したこと」(EMCジャパン マーケティング本部 プロダクト・マーケティング部 プロダクト・マーケティング・マネージャ 雨堤政昭氏)を強調する。たとえば64ビットオペレーティング環境「CLARiX FLARE」、デュアルプロトコル(iSCSI、ファイバチャネル)、独自技術「UltraFlex」によるI/Oモジュールのホットプラグ、フラッシュドライブ(SSD)、仮想プロビジョニング機能、省電力SATAディスクドライブ、スピンダウン機能などである。

EMCは今年1月、同社のハイエンドストレージシステム「Symmetrix DMX-4」に搭載可能なSSDを発表、その後、Sun MicrosystemsなどもSSD対応ストレージを発表しているが、ミッドレンジレベルのストレージに採用されるのはこのCLARiX CX-4が業界初となる。これにより従来のドライブに比較して最大30倍の高速性に加え、IOPSベースで98%の省電力化も実現できる。

PCの世界では当たり前の64ビットOS環境も、ストレージではまだ32ビットが主流だ。だがCLARiX FLAREを採用することで、マルチコアプロセッサの利用が可能になり、拡張性およびパフォーマンスの大幅な向上が実現する。その上で、さらにiSCSIとファイバチャネルのデュアルプロトコルを標準でサポートすることで、I/Oモジュールのホットプラグが可能になる。これが可能なミッドレンジストレージも同製品以外には、現在のところ存在しない。

EMC CLARiX CX4-120

「EMC=ハイエンドという刷り込みは強く、なかなか払拭することは難しいが、そのイメージは変えていく必要がある」と諸星社長が語るように、ここ最近、同社はSMB(中堅/中小)を対象とした動きを積極化している。ミッドレンジレベルの販売増にはパートナーとの密な連携が欠かせないが、先月末にはSMBに強いパイプをもつ大塚商会と販売パートナー契約を結ぶなどしており、今後は2次店を含め販売パートナーをさらに拡大していきたい構えだ。そういう流れからすると、CLARiX CX-4は同社のSMBビジネスの中核製品として展開されると見ていいだろう。高いコストパフォーマンスと数々の最新機能を掲げ、競争激化が必至なミッドレンジストレージ市場で「2010年にはシェア15%を目指す」(諸星社長)勢いだ。