マイクロソフトは1日、SQL Server 2008 日本語版の製品版をリリースし、ボリュームライセンス向けのダウンロードを開始したと発表した。なお、パッケージ版は9月19日より提供予定。価格は、前バージョンのSQL Server 2005のまま、据え置きとなる。

機能面では、最終の日本語プレビュー版であるCTP 2月版にクラスタ機能が加わったのみで、他で削除、追加された機能はないという。 提供されるのは、従来のEnterprise、Standard、Workgroupに加え、今回新たにインターネット公開Webサイト専用のWebというエディションが追加された。また、今後Expressエディションも提供される予定だ。

製品ラインアップ

Enterprise、Standard、Workgroup、Webの各エディションでは、それぞれx86版とx64版が提供され、Enterpriseのみインテル Itanium版が提供される。Windows Server 2008は、今後x86版の提供はなくなるが、SQL Server 2008については、いまのところx86版をなくすという計画はないという。

執行役 常務 佐分利ユージン氏

執行役 常務 佐分利ユージン氏は「製品を市場に投入するだけでは、立ち上がりは進まない。そのため、業界と一体なってローンチに取り組んできた。イベントで全国各地をまわってきたが、市場の期待は高い」と述べたほか、業務執行役員 本部長 サーバープラットフォーム ビジネス本部の五十嵐光喜氏は「出荷時の対応アプリケーションは149社、195アプリケーションで(対応表明も含む)、SQL Server 2005の1.5倍になる。これは、SQL Server 2005の評価が非常に良かったことの表れだ」と語り、製品に自信を見せた。

業務執行役員 本部長 サーバープラットフォーム ビジネス本部の五十嵐光喜氏

また五十嵐氏は、「高まったビジネスをどのようにお客様に訴求していくのか」と語り、今後の販売戦略が重要であるとの見解を示した。

販売戦略では。仮想化、コンプライアンス、データウェアハウス/BI、価格優位性の4つを中心に訴求を図る。

仮想化では、Enterpriseでは物理環境ライセンス(CPUライセンス)のみで仮想環境へ無制限のインストールが可能である点を、コンプライアンスでは、証明書サービス、暗号化、ポリシーベースの管理、データ操作監査を標準で提供している点を、データウェアハウス/BIでは、多次元データマイニングやレポーティング機能などが標準で提供されていることをそれぞれ訴求していくという。そして、このように他社ではオプションとして提供されて機能を標準で提供しているため、価格での優位性があると述べた。

Webというエディションが追加された理由としては、LAMP(Linux、Apache、MySQL、PHP)が強いWebのオープンソース市場のリプレースを狙っているようだ。五十嵐氏は「できればWISA(Windows、IIS、SQL Server、ASP.NET)に切り替えていきたいが、最初から4つは無理でも、2つないし3つを切り替えていきたい」と述べた。また、五十嵐氏は「今後、アプリーケーションをサービスとして提供していこうという会社が増えてくるだろう」と述べ、SaaS市場も意識していることをうかがわせた。

新たに追加されたSQL Server 2008 Web

そのため、Web エディションのついては、Standardの10分の1程度の戦略的な価格付けを行い、別途IPS向けの月額課金のライセンス体系も用意するという。

技術者育成も強化

新たに技術顧問となった、CSK Win テクノロジ 執行役員 CTOの熊澤幸生氏

また、今後は技術者の育成も強化していくという。具体的には、MSDNやTechNETの無償オンライントレーニングや、パートナー向けのトレーニングmstep、有償トレーニングのMicrosoft Learningを拡充していくほか、CSK Win テクノロジ 執行役員 CTOの熊澤幸生氏を技術顧問にむかえ、パフォーマンスチューニング、旧バージョンからのアップグレードなど、現場のプロジェクトを支援していくという。

ロゴが変わった

また、今回SQL Serverのあたらしいロゴも披露された。ダイナミックグリッドというもので、ユーザーニーズが常に変わっている、膨大な情報を整理する、システム連携の3つを表しているという。今後は、サーバ系の各アプリケーションに、それぞれ色を変えて採用されるという。

あたらしいロゴ。今後サーバ系の各アプリケーションに採用される