米Microsoftは7月30日(現地時間)、同社のWindows Updateを利用した64ビット版Windows Vistaユーザーの数が過去3ヶ月で3倍以上に跳ね上がったことを報告した。同データは米国内からのWindows Updateへの接続を集計したもので、さらに新規接続ユーザーに限れば64ビット版の比率は20%にも上るという。同社Windows Client Communications TeamディレクターのChris Flores氏がWindows Vista Team Blogへの投稿の中で明らかにした。

集計データによれば、過去3ヶ月におけるVista 64ビット版の占める割合は米国内で3倍、全世界では2倍以上増加しているという。また新たにWindows Vistaの利用を開始したユーザーに限定した場合、今年3月に3%程度だった64ビット版の割合が、米国内のデータで20%まで急増している。Flores氏は「単純にいえば、64ビット版Windows Vistaの利用者の増加度合いは32ビット版よりも高いということだ。現在のトレンドを基にすれば、今後の小売りチャネルでの64ビット版デスクトップPCやノートPCの取り扱い増加につながるだろう」とコメントしている。

また64ビット版が動作するマシンの特徴として、4GB以上のメモリを搭載している点を挙げている。3GBという当面の壁を乗り越えることで、パフォーマンスなどの面においてメリットを享受できるのが64ビット版の特長だ。現在の64ビット版利用のトレンドは"Technology Enthusiasts"と呼ばれるいわゆる"マニア層"が牽引している状態だが、その背景にはメモリ価格の下落と、本来のマシンパワーを引き出したいというユーザーの欲求によるものだと同氏は分析する。

ブログ内でFlores氏は「64ビットがメインストリームになる準備が整ったのか?」「4GBメモリ以上のメモリを搭載することでメリットを享受できるのか?」という2つの疑問を提示している。それらへの回答は「"限定条件"付きでイエスだ」だ。

前者についてFlores氏は、64ビット版Vistaを搭載したメーカー製マシンの広がりが必要だと考えている。「メーカー製の64ビットに調整されたマシンなら、おおむねそのまま利用できる。だが"Technology Enthusiast"のような自作ユーザーはマシンの正常動作のためにネットを徘徊してドライバー探索を強いられることになる。あなたが機械いじり好きというのでなければ、PCメーカーからの64ビット版マシン購入をお勧めする」(Flores氏)という。今後の数字の伸びはマニア層以外の動向が鍵を握っている模様だ。ハードウェアやソフトウェアの対応については「おおむね良好」と同氏はコメントしている。「Works with Windows Vista」「Certified for Windows Vista」のロゴのついた製品は32ビット/64ビット両対応であり、それ以外の製品については「Windows Vista Compatibility Center」で確認できる。

後者のパフォーマンスについては、32ビット版よりもより多くのアプリケーションを同時に走らせることが可能で、こうした使い方のユーザーにとってメリットをもたらすことになるという。特にSuperFetchのようなWindows高速化技術を64ビット版で利用した場合、広大なメモリ空間を利用してふだん利用するアプリケーションのほとんどをオンメモリで動作させることが可能になり、多大なメリットを享受できる。また100%ではないものの、32ビット版アプリケーションの多くはWOW64と呼ばれるエミュレーション環境を使って64ビット版Vista上で動かせる。また最近では64ビット版に最適化されたアプリケーションも増えつつある。例えば、Adobe Photoshop Lightroom / Photoshop、Sony Vegas Proといった映像/動画編集ソフトの64ビット版のリリースが秋に予定されている。利用ユーザーこそ選ぶものの、使い方しだいで大きなメリットを得られるというのが64ビット版の特徴のようだ。