日本ネティーザ 代表取締役 ダグラス・エッツェル氏

米Netezzaの日本法人である日本ネティーザは9日、同社のデータウェアハウス(DWH)アプライアンス「Netezza Performance Server(NPS)」に提供するアップグレード・ソフトウェアを「リリース4.5」へとバージョンアップしたことを発表した。出荷は今月末より順次開始される。

リリース4.5では、主に「データ圧縮機能」「セキュリティ」「クライアント機能」の3点で機能強化・向上が図られている。想定するターゲットソリューションは、「大規模なDWHを高パフォーマンスで用いる通信や金融などの業界のほか、高度な分析を高パフォーマンスで行う分析ASPサービスのような分野、Windowsとの親和性が求められるような分野」(日本ネティーザ 代表取締役 ダグラス・エッツェル氏)としている。

日本ネティーザ 執行役員 技術本部長 法華津誠氏

データの圧縮機能は、従来より同社が採用している「FAST(FPGA Accelerated Streaming Technology)Engine フレームワーク」を踏襲している。新たな圧縮手法は「Compressエンジン」と呼ばれ、データベースのカラムに配置されたデータをコンパイルする技術を用いることで、データ格納時のディスク使用効率を高め、データ取り出し時にデータストリーミング過程でFPGAによるデータの解凍を行い、CPUやメモリへの負荷を軽減するというもの。

これにより、「従来のリリース4.0に比べ、2~4倍のストレージ容量を実現しつつも、解凍されたデータに対し2~3倍のスキャン速度を実現することができるようになった」(同社 執行役員 技術本部長 法華津誠氏)という。

Compressエンジンによりストレージ容量の拡大とスキャン速度の向上が可能に

セキュリティの強化としては、BIクライアントとNPSシステム間のSSL暗号化により、セキュアなクライアント接続により、データベースへのクエリ転送やクライアントへのクエリ結果返送、データロードといった移動転送データへのセキュリティを確保した。

また、LDAP(Lightweight Directory Access Protocol)やActive Directoryをサポートすることにより、LDAPサーバと連携して既存ユーザを管理し、NPSに対しシームレスなユーザ認証の提供が可能となった。

セキュアなアクセスと各種ディレクトリサービスとの連携を実現

クライアント機能の強化としては、従来のODBC、JDBCに加え、OLE DBドライバの提供によるMicrosoft製品との連携強化や、Windows Vista Businessのサポートが行われた。

また、ODBCドライバのインストールプログラムの改善を行ったことで、サイレントインストールが可能となったほか、アップグレードの簡易化との統合により、アップグレード中の手動操作必要性の削減やメンテナンスのための時間短縮を実現できるという。

なお、日本語版ではリリース時期が不明ながらも、リリース4.5では「OnStream関数」という新たな取り組みが取り入れられている。これは、SQLで表現できないものを、独自開発のデータ検索処理装置「スニペット・プロセッシング・ユニット(SPU)」上で動かすというもの。これにより、今までとは違った使用法ができるようになるというもの。現在、コミュニティを形成して、どのように用いていくかといった議論を交わしている段階であり、日本でもどうやっていくか模索している段階にあるという。

これまで、大量のデータを抽出した上で複雑なロジックを行っていた行為をSPUにロジックを載せることで、並列処理ができるようになり、パフォーマンスを向上させることができるようになる