NECは27日、LSIの消費電力を削減するための基本技術として、LSI温度分布の「見える化」技術を開発したことを発表した。

今回、トランジスタのリーク電流の温度依存性を利用することで面積比で従来の1/10を実現した温度センサ、ならびにリーク電流をデジタル信号へ変換する小型の変換回路を開発。これにより、従来LSI内に数個しか配置できなかった温度センサを数十個配置できるようになり、LSI内のリアルタイムな温度分布の観測を行うことが行える「見える化」が可能となった。

また、電源投入時に、LSIのリーク電流を測定することで、電流量から温度に変換する変換式を予測、適用する技術を開発。これにより、温度測定誤差が数十℃程度と大きかったリーク電流を用いた温度センサの測定誤差を約3℃以下へと低減。製造バラつきにより、リーク電流が100倍以上異なり温度測定誤差が大きくなる場合でも、高い精度での測定が可能となった。

これらの見える化技術は、スーパーコンピュータ「SX-9」での動作実証に成功している。同社では、これをLSI内温度分布を均一にするための制御が可能となり、LSI内温度の局所的な上昇による信頼性低下を防ぐ「ディペンダブル」と、LSIのトータルな消費電力を削減する「エコロジー」が実現できる技術としており、メニイコアにおいて、各コアの動作周波数、データ処理量、電源電圧などを適切に制御することができることから、先端LSIの消費電力を最大で50%削減できるようになるとしている。