AMDは、Radeon HD 3800シリーズの後継製品となる新型GPU「ATI Radeon HD 4870」を発表した。先行して発表されているRadeon HD 4850と合わせ、Radeon HD 4800シリーズに2つのラインナップが登場したこととなる。価格は299ドル。

Radeon HD 4870は、製造プロセスが55nm、ストリームプロセッサ数が800基、テクスチャユニット数が40基、レンダーバックエンド数が16基など、GPUの内部構造はRadeon HD 4850と同様。DirectX 10.1に対応し、HDビデオ再生支援機能もUVD2を備え、第2世代となる省電力機能PowerPlayも搭載している。インタフェースはPCI Express 2.0。

Radeon HD 4800シリーズと3800シリーズのスペック比較

GPU内部設計もRadeon HD 3850シリーズから改良が加えられている

Radeon HD 4850と異なるのはメモリにGDDR5を採用している点と、動作クロックが引き上げられている点。搭載するGDDR5メモリは256bit接続で、リファレンス仕様では3.6Gb/s駆動、115.2GB/sの転送速度を持っている。メモリ搭載量は512MB。また、GPUクロックはRadeon HD 4850の625MHzに対し750MHzとされている。これら仕様の違いにより、Radeon HD 4850の1TFLOPSに対し、Radeon HD 4870は1.2TFLOPSの演算性能を持つという。

Radeon HD 4870と4850のスペック比較

Radeon HD 4870カードのスペック

Radeon HD 4870を搭載するリファレンスカードは、2スロットタイプのクーラーを装着している。消費電力は最大160Wと、Radeon HD 4850よりも50Wほど高く、リファレンスカードではPCI Express補助電源コネクタを2本装着している。

ATI Radeon HD 4870を搭載したデモ機

リファレンスデザインのカードでは2つのPCIe補助電源コネクタを搭載。2スロット厚のクーラーを採用している

発表に先立ち開かれた説明会では、まず199~299ドル帯のGPUを開発した後にバリエーション展開するという同社のGPU開発スタンスがあらためて説明されたほか、GPUによるAI演算のデモンストレーション、GPUによる動画エンコードのデモンストレーションなど、GPUをグラフィックス以外の演算に用いるGPGPUへの取り組みも紹介されている。

ATIでは、まず軸となる199~299ドル帯GPUを開発し、素早くバリエーション展開することを目指す。今回のRadeon HD 4800シリーズ2製品がまさに軸となる製品

Radeonシリーズのセグメント別ロードマップ。Radeon HD 3800シリーズは併売されるほか、より上位にはコードネームR700が控える。前のプレゼン写真と合わせれば、デュアルチップのGPUか!?

サイバーリンクのデモでは、4つの動画をGPUアクセラレーションでトランスコード

GPUによるエンコード支援でより高速にエンコードできる

AIのデモンストレーション。多数の粒のようなキャラクターはカエルで、それぞれが自由気ままに動く

これもAIのデモンストレーション。先ほどのカエルが各々お化けから逃げていく