ストレージ機器ベンダの米NetAppの日本法人であるネットアップは17日、同社のユニファイド・ストレージ「NetApp FASシステム」のミドルレンジ・ストレージ製品「FAS3100シリーズ」を発表した。即日パートナー企業を通じて提供を開始。価格は参考価格だが、1,861万2,000円からとしている。

ミドルレンジ・ストレージ製品「FAS3100シリーズ」の外観

ネットアップ 代表取締役社長 大家万明氏

冒頭、同社代表取締役社長の大家万明氏は、同社の事業概況を語り、「2008年5月よりスタートした新会計年度では、新規顧客の開拓が一番の課題だが、既存顧客に対しても当社製品で統合することでTCOの削減につながることをアピールして販売拡大へつなげていく。FAS3100シリーズは最も需要が高い領域の製品であるため、これを機に最終的には売り上げベースでのトップシェア獲得を目指す」とした。

FAS3100シリーズは、同社のミドルレンジ・ストレージ製品「FAS3000シリーズ」の後継となるシリーズで、ストレージ容量が最大420TBの「FAS3140」と、同840TBの「FAS3170」の2製品がラインナップされている。

FASファミリのラインナップ

前シリーズと比較すると、コントローラ用のメモリが最大2倍となる32GBまで拡大したほか、I/Oの拡張ポート(PCI Express)数が最大6ポートから最大8ポートへと増強しており、データ転送速度や処理性能の向上が図られている。

ネットアップ マーケティング部 部長 阿部恵史氏

シャシーには新たに6Uのフォームファクタシャシーを採用。従来、1つずつのシャシーとコントローラを2台並べてクラスタリングしていたものを6Uのシャシー1つで可能とした。これにより、「単一の6Uシャシーでアクティブ・アクティブ構成を可能にした」(同社 マーケティング部 部長 阿部恵史氏)という。

また、バックプレーンを採用したことで、電源ケーブルの数を削減できるほか、クラスタリング構成時のハートビート外付けケーブルが不要になった。このため、「従来のようにバラバラに製品を提供して組み合わせることに比べ、構成のしやすさが増すほか、ケーブル数の削減による信頼性の向上、そして作業ミスの軽減が可能になった」(同)という。

「FAS3100シリーズ」はフォームファクタシャシーを採用

一方、FAS3100シリーズと合わせて同社ではストレージシステムのデータ処理を高速化させる2種類のアクセラレータ製品群をオプションとして提供することも併せて発表した。

1つは、HPCなどの大量のデータ処理が求められる環境においてストレージシステムのデータ処理を高速化させるキャッシュアプライアンス「Storage Acceleration Appliance」で、「NetApp SA200」「NetApp SA300」「NetApp SA600」の3製品がラインナップしている。いずれも同社の従来製品である"FAS2000シリーズ"や"FAS3000シリーズ"、"FAS6000シリーズ"の筐体に同社のソフトウェア「FlexCache」を組み合わせて提供される。

「Storage Acceleration Appliance」の特長と使用例

多数のクライアントから同一のファイルシステムを共有して大量のファイルにアクセスする場合、「(同製品を用いて)スケールアウト環境を構築することで、ストレージシステムへのアクセスを分散させることが可能となり、レスポンスを向上させ、ストレージリソースの最適化を図ることが可能となる」(同)という。

また、従来WANを経由してアクセスしていたリモート環境に同製品を配置することで、遅延を軽減することが可能となり、遠隔地のクライアントでもアクセス速度の向上が可能となる。

もう1つは、インテリジェントなデータキャッシングモジュール「Performance Acceleration Module」であり、ランダムアクセスのリード/ライトを向上させることを目的としてFASシリーズおよびStorage Acceleration ApplianceのI/O拡張スロットに挿入して使用する。

「Performance Acceleration Module」の外観

16GB(4GB×4)のメモリを搭載しており、大量のデータ処理が必要とされる環境において、HDDから直接読み込んだ場合と比較してデータ読み取り時間をおよそ1/10程度に削減することが可能だ。また、HDDを増設せずにストレージシステムのパフォーマンスを向上させることが可能なため、新たにラックスペースを用意する必要がなく、シェルフ1つ分のFC(Fiber Channel)ディスクと比較して、消費電力を約95%削減することができる。

なお、Storage Acceleration Applianceは即日パートナー企業を通じて提供を開始。価格は346万8,000円からとしており、Performance Acceleration Moduleは8月からの提供を予定している。